「チェ・ゲバラ-人々のために-」(1999アルゼンチン)
ジャンルドキュメンタリー
(あらすじ) キューバ革命を成し遂げたチェ・ゲバラに迫る伝記ドキュメンタリー。
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(レビュー) Tシャツのプリントにもなっており、今やポップカルチャーのアイコンになっている向きもあるエルネスト・チェ・ゲバラ。本作は関係者のインタビューと貴重な記録映像で、革命家ゲバラの真実の姿に迫ったドキュメンタリー作品である。
アルゼンチンに生まれたゲバラは医学博士になった後、独裁政権を逃れ渡米する。そこで出会ったカストロと共にキューバへ渡りバティスタ政権を打倒し、いわゆるキューバ革命を成し遂げた。映画はその辺りのことを中心に描いている。映画の作りは、当時の記録映像と関係者へのインタビューを素材にしたシンプルな構成になっている。彼が辿った足跡が分かりやすく紹介されているので、ゲバラを知るという意味では丁度良い映画かもしれない。
例の顔写真の経緯についても興味深い逸話が語られていた。突然の死によって、その写真は革命の象徴として世界中のものとなったわけだが、ゲバラにはまだやらねばならぬ革命があり、志半ばでこの世を去った後にそれらがファッションのようになってしまったことは皮肉と言えば実に皮肉的な話である。
彼の亡骸を捉えたフィルム等、中々目にすることの出来ない貴重な映像も登場し“記録”としての意味合いも高い作品だと思う。ただ、インタビューの対象が革命時の兵士や親縁者に限られており、どうしても賞賛の声で押しまくる英雄談になってしまっている。彼の私生活が分かるエピソードやカストロとの関係断絶のエピソードには詳しく言及されず、“英雄以外の顔”については他の著作物で補完した方がいいだろう。