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フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白

アメリカの戦争の歴史を紐解くドキュメンタリー映画。
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(2005/02/23)
ドキュメンタリー映画

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「フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白」(2003米)星3
ジャンルドキュメンタリー・ジャンル戦争
(あらすじ)
 元アメリカ国防長官ロバート・マクナマラが語るドキュメンタリー映画。彼が経験した戦争の歴史を振り返りながら11の教訓を提示する。
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(レビュー)
 マクナマラはケネディ、ジョンソン政権下で国防長官を務めた理論派として知られる政治家である。彼の人生は戦争の歴史そのものだった。

 ハーバード大学に進学した彼は、第二次世界大戦時に軍の戦術分析の顧問を務める。その功績を買われてケネディ大統領の下では国防長官に任命。その後、キューバ危機を目の当たりにし、次のジョンソン政権下では泥沼化していくベトナム戦争の責任者となった。正に彼の人生は戦争に明け暮れたアメリカの歴史そのものだったわけである。しかし、そんな彼も一時期フォード社の社長を勤めていた経歴がある。ケネディから声をかけられなかったら、あるいは彼の人生は今とは全く違ったものになっていたかもしれない。そう考えると、人生どこでどうなるか本当に分からない‥。

 彼が自らの経験から編み出した11の教訓については、実践するとなるとかなり苦労しそうだ。理論派らしい説得力のある指針だが、言うのとやるのとでは全然違う。しかし、少なくとも国のリーダーシップを執る者にはこの11の教訓は頭の中に入れておいて欲しいものである。
 そして、明言はされていないものの、これらの教訓はイラク戦争を起こしたジョージ・ブッシュに提示するアドバイスのようにも聞こえてきた。この辺りの含みがあることで、本作は極めてリテラシーの高いドキュメンタリー映画になっていると思う。映画というものが時代を反映した媒体であるということを、改めて再認識させてくれる。

 そんなマクナマラ自身も、自らの過ち、つまり過去の戦争については後悔している。本作への出演は彼なりの贖罪の意味もあったのだろう。自分がどういう立場でどういう形で戦争に関与したか、包み隠さず述べている。

 ただし、東京を焼け野原にされ、2個の原爆を落とされた我々日本人からすると、彼の後悔の弁は少々虫が良すぎる‥という気もしてしまう。ベトナムの人々にしても思いは同じかもしれない。彼の弁によっていくら戦争の悲惨さが伝えられても過去は変えられないし、尊い命が戻ってくるわけではない。戦争の傷痕とはそう容易く消せないものなのである。

 彼は長官退任後、世界銀行の総裁に就任し、人道的な事業に力を入れていくようになる。それが過去の戦争に対する罪滅ぼしだったのかどうかは分からないが、映画のラストに堂々とそれをテロップで流すのはどうだろう‥。何となく嫌らしい感じがするので、こういうのはさりげなく出して欲しかった。

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