子供たちに未来はあるか?
「未来を写した子供たち」(2004米)
ジャンルドキュメンタリー
(あらすじ) インド、カルカッタの売春街に住む子供たちを捉えたドキュメンタリー映画。
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(レビュー) 麻薬、売春、暴力に溢れたスラム街の風景は、筆舌に尽くし難いほど悲惨なものである。映画はそこに住む幼い少年少女達の姿を切り取っていく。
現場の風景を生々しく切り取った作りは、ドキュメンタリーというジャンルの中で真剣に勝負しようという製作サイドの気持ちの表れだろう。形にこだわらずあるがままに伝えようとする意思。そこに真摯な姿勢を感じた。ただ、一部で作為性を持った映像も登場してくる。しかし、それらはあくまで作品に緩急のリズムをつけるという程度に抑えられており、本作は基本としてルポルタージュに徹した作りになっている。
DVに苦しむ少年、幼いうちから客を取らされる少女、親が売春婦という理由だけで学校から門前払いを受け、まともに教育すら受けさせてもらえない現状。カメラはそれらを次々と捉えて行く。子供達の前には絶望しか広がっていない。この過酷な運命には心を痛めてしまう。
映画はそこに一人の女流カメラマン、ザナが現れることで、希望に満ちたものになっていく。彼女は子供たちにカメラを与えて、思い思いに自由に写真を撮らせることで、閉塞的な日常に潤いの時間を与えていく。中には、大人顔負けのセンスを持った子もいて、何とかその才能を開花させてやろうとザナは様々にサポートしていくようになる。また、子供達が学校に行けないことを知ると、彼女は諸々の関係機関に入学を認めてもらおうと働きかけていく。正直、ここまで自分を犠牲にして慈善活動に専念してくとは、頭が下がる思いである。
こうして子供たちの顔には徐々に笑顔がこぼれていくようになる。それは薄暗いスラム街では一際眩しく写る。特に、ザナに連れられて初めて海に行くシーンの生き生きとした表情は印象に残った。
世界にはまだまだ我々の知らないところで、このような子供たちがいるのだろう。彼らに少しでも希望という名の光が訪れんことを祈るばかりである。