fc2ブログ










コラテラル

タクシーに乗りあわせた天使と悪魔の物語。
コラテラル スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]コラテラル スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
(2005/03/04)
トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス 他

商品詳細を見る

「コラテラル」(2008米)star4.gif
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 ロサンゼルスでタクシーを運転しているマックスは、アニーという美人女性検事を乗せて上機嫌になった。その後にビンセントという男を乗せる。実は、彼はある組織に雇われた殺し屋だった。マックスはビンセントの殺しに加担させられた上に、警察とFBIに追われることになる。
楽天レンタルで「コラテラル」を借りよう
goo映画
映画生活

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ


(レビュー)
 運悪く殺し屋を乗せてしまったタクシー運転手の災難を、スタイリッシュな映像で綴ったアクション作品。

 善良なタクシードライバー、マックスをJ・フォックス、冷酷な殺し屋ビンセントをT・クルーズが演じている。T・クルーズの殺し屋はどうしてもスターの輝きが邪魔になって”にわか”に写ってしまうが、小市民的な“成り”が板についたJ・フォックスの造形は中々に良かった。冒頭、客として乗せた女性検事アニーにデレデレしたり、入院している母親につまらない嘘で虚勢を張って見せたり、いかにもうだつの上がらないブルーカラーの悲哀がキャラクターのリアリティを作り上げている。ユーモラスな面持ちにも好感が持てた。

 物語は、マックスの日常が殺し屋ビンセントによって壊されていくという、言ってしまえばブラック・コメディのようにも取れる話である。作品のトーンが悲喜劇的に料理されており個人的にはこういうのは大好物である。終始飽きなく見れた。

 本作の面白さの肝は、何と言ってもマックスとビンセントのやり取りであろう。タクシーという密室で行われる二人の駆け引きは心理サスペンス的な緊張感を生み、尚且つ加害者と被害者でありながら運命を共にするという奇妙な連帯関係がバディ・ムービーのようなペーソスを醸す。こういう設定で友情を描いた所は本作の新味であろう。

 更に言えば、マックスとビンセントは、善と悪、無機(夢)と有機(金)、正常と異常、相反する資質に区分でき、人間の二面性を含ませたキャラクターとして捉えられる。言わば、彼らは人間の深層に存在する天使と悪魔の権化という解釈も出来るのだ。

 中盤で、自暴自棄になったマックスが猛スピードを出して強引に脱出を試みようとするシーンがある。ここは彼が善と悪、正常と異常の一線を超えた瞬間で、とにかくスカッとするシーンだった。
 彼はそれまで客の言われるままに走ってきた真面目な運転手だった。それが、自らの意思でアクセルを全開にしてこの窮地を切り抜けようとするのだ。これはつまり平凡な日常を打ち破る瞬間であり、普段は見せない別の顔を見せる“変身”の瞬間でもある。現に、これ以降マックスは肝の据わった強い男に変わっていく。変身ヒーロー物にも似たカタルシスと言えばいいだろうか‥。ともかくもこの爽快感、痛快さには痺れた。

 一方のビンセントのドラマはと言うと、マックスに比べると少々見劣りしてしまう。警察やマフィアが登場して追跡劇が展開されるが、緊張感があるわけでもなく、謎解きのような面白さがあるわけでもない。そもそもビンセントは時折フールな言動で笑わすようなことをするので、殺し屋にしてはヌルく映ってしまうのが難だ。また、対する警察の捜査描写やマフィアの描写もどこか安穏としたものに映るし、シリアスに捉えようとすればするほど随所に無理が出てきてしまう。先述したように、捉えようによってはブラック・コメディのようにも見れるので、ビンセントの追跡劇は肩の力を抜いて見るくらいが丁度いいのかもしれない。

 尚、チョイ役でJ・ステイサムとJ・バルデムが出演している。前者はすぐに分かったが、後者は全然気が付かなかった。殺し屋シガー、お前はどこに出ていたのだ?
[ 2010/11/23 19:27 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/679-66a54f66