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フレイルティー/妄執

B級サスペンスとして見れば中々良く出来ている。
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(2007/08/24)
ビル・バクストン、マシュー・マコノヒー 他

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「フレイルティー/妄執」(2001米)星3
ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 “神の手”を名乗る連続殺人鬼を追うFBI捜査官ドイルの元に、フェントンという男がやって来た。彼は“神の手”は自分の弟アダムだと告白した。アダムは数時間前に自分のところに電話をかけてきて拳銃自殺したと言う。現場に急行する車中で、ドイルはフェントンから恐るべき話を聞かされる------------幼少時代のフェントンとアダムは優しい父と中むつまじく暮らしていた。ところが、ある日突然父は神の声を聞いたと言い奇行に走り出した。この世の悪魔を成敗すると言って、彼は若い女性を誘拐して殺害するのだった。
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(レビュー)
 神の教えに取り付かれた父と、そんな父を畏怖し、信奉する幼い兄弟の物語。オカルトチックな怖さと連続殺人事件の捜査。そこに父と子、兄弟の愛憎ドラマを盛り込んだ所が妙味である。見ている最中、何となくS・キングっぽい感じがした。「キャリー」(1976米)と「デッドゾーン」(1983米)を足して2で割った感じの映画である。

 監督は父親役で出演もしている俳優のB・パクストン。「キャリー」のデ・パルマや「デッドゾーン」のクローネンバーグほど際立った作家性は感じられないが、堅実な演出を見せている。静かなトーンの中に人間の心の闇を不気味に投射した手腕は中々のものである。特に、自宅地下室のシーンは恐ろしかった。カルト宗教のマインドコントロールにも似た、えげつなさを感じる。

 本作の肝は何と言っても、好対照な兄弟のキャラクターの差異にあろう。夫々に性格は全く異なり、その最たるは狂信的な振る舞いをエスカレートさせていく父に対する接し方に見られる。弟アダムは父の悪魔退治をまるでマンガのヒーローのように崇めていく。やっている事は単なる殺人なのに、何の疑念も抱かずに盲信していくのだ。一方、兄フェントンは父の行為に反発し、正しい道を自らが求めていく。こちらの方が常識的な捉え方で感情移入もしやすく、観客も彼の視点でこの物語を追いかけていくことが出来るだろう。そして、彼が貫く正義にはちょっとしたミステリーが用意されていて、これも面白い。果たして、フェントンが考える正義は本当に“正義”と言えるのどうか?見終わった後に少しばかり考えさせられた。

 また、父の兄弟に対する接し方の違いは、穿って見れば子育てについての問題提示として受け止められる。父は聞き分けの良いアダムを寵愛し、反発するフェントンを折檻して服従させようとする。兄弟でこれだけ差別的な扱いを受けたら、さぞかし歪んだ性格に育つだろう。実は、この事件を生んだそもそもの原因は、この父親の差別的な教育方針に関係しているような気がする。

 基本的に低予算な作品なので、様々な部分で拙さを感じるが、この辺りは物理的な限界ということで、ある程度目を瞑ってあげたい。事件の周囲や背景描写に十分手をかけられなかった事が、ありありと見て取れる。作品のリアリティ云々を言ってしまうと物足りないが、その不満を除けば中々美味しく“いただける”サスペンス映画になっていると思う。
[ 2010/12/03 01:30 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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