アメリカのコメディはビデオスルーされるケースが多い。本作も正にそういった作品。
笑いに関しては、日本の場合お茶の間で十分‥という固定概念があるのかもしれない。
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「ラスト・ホリデイ」(2006米)
ジャンルコメディ
(あらすじ) ニューオリンズのデパートで働く販売員ジョージアは、地味で冴えない独身女性。同僚で憧れのショーンに告白できずにいた。そんなある日、医者から突然余命3週間を宣告される。脳に腫瘍ができたのだ。彼女はショーンに別れも告げず、最後の贅沢をしようと全財産をはたいてヨーロッパのリゾート地へ飛ぶ。そこに偶然彼女が勤める会社の会長がいて‥。
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(レビュー) 余命3週間を宣告された女性が、周囲の人々に勇気と希望を与えていくハートフル・コメディ。
ジョージア役をQ・ラティファが演じている。残り少ない人生を前向きに生きようとする活力溢れるなキャラが上手くマッチしている。楽しそうに演じている所が良い。
ただ、作品自体は余りにも能天気で今ひとつ、のめりこめなかった。
例えば、余命3週間を宣告されたら普通はショックを受けて落ち込むだろうが、ジョージアはすぐさま銀行から全財産を下ろして憧れの高級リゾート地へ向かうのだ。コメディとして割り切って見るなら、それはそれで良しとしよう。しかし、問題はここからで、リゾート地での彼女はセレブに囲まれて遊興する俗物のように描かれており、これでは中々感情移入がしずらい。それこそコメディとして笑いを取りに行くなら、セレブをコケ下ろすような暴挙に出るくらいの行動を見せて欲しかった。それ以前に、孤独を紛らす方法が散財というのは余りにも即物的過ぎて好感が持てない。本作では憧れのショーンというキーマンが存在する。本当なら彼と一緒に過ごしたいというのが人情ではないだろうか。
ドラマも予定調和で面白みに欠ける。医者の誤診は見え透いた伏線であり、結末にかけての展開もシンプル過ぎて食い足りない。ドラマの中心となるホテルでの人間交流も掘り下げが方が甘い。個性的なサブキャラが揃っていて面白くなりそうなのだが、いかんせんポイントが絞りきれていないのが残念だった。
監督はW・ワン。過去にはペーソス溢れる傑作も撮っていて「ジョイ・ラック・クラブ」(1993米)、「スモーク」(1995日米)あたりは好きなのだが、ここ最近は今ひとつパッとしないのが残念である。
尚、ジョージアが勤める会社の会長役としてT・ハットンが登場してくる。若かりし頃の印象しか無いため、今回の老け役には驚かされた。最近は脇役での出番が多いようだが、中々嫌らしい雰囲気を出していて面白い俳優になってきている。今後はこの路線でどんどん活躍して行って欲しい。