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クライム&ダイヤモンド

T・アレンの映画マニアっぷりは楽しめるが、色々な部分で惜しい‥。
クライム&ダイヤモンド ~スペシャル・エディション~ [DVD]クライム&ダイヤモンド ~スペシャル・エディション~ [DVD]
(2003/01/30)
クリスチャン・スレーター、ティム・アレン 他

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「クライム&ダイヤモンド」(2001米)hoshi2.gif
ジャンルサスペンス・ジャンルコメディ
(あらすじ)
 詐欺師のフィンチが目を覚ますと、そこは見知らぬホテルの部屋だった。彼は殺し屋ジムに捕まり監禁されたのである。ジムは依頼人に引き渡す前に何か面白い話を聞かせろと言う。フィンチは仕方なくここに至るまでの経緯を語り始めた--------フィンチは刑務所でマイコーという宝石泥棒と出会い意気投合した。盗んだ宝石はある場所に隠してあるという。二人は脱獄して別人に成りすましてその場所へ向かう。ところが、フィンチが偽装した男はマフィアから命を狙われている人物だった。その煽りを食らってマイコーがマフィアの銃弾に倒れてしまう。フィンチは、マイコーの一人娘テスからダイヤの隠し場所を聞きだそうとするのだが‥。
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(レビュー)
 盗品ダイヤを手に入れようとする詐欺師の奔走をコミカルに綴ったクライム・サスペンス。

 物語はフィンチが殺し屋ジムに捕らわれた所から始まる。ジムは大の映画マニアでストーリー・オタク。何か面白い話を聞かせろとフィンチに命令する。そして、フィンチは宝石奪取の話を始める。現在と回想のカットバックで進行する入れ子構造のドラマになっている。

 まず、現在進行のドラマは、ジムの映画ヲタクぶりが前面に出ていて中々楽しめた。過去の様々な名セリフが彼の口から湯水のように出てきてクスリとさせる。

 しかし、フィンチの宝石奪取を描く回想ドラマの方については余り面白みが感じられない。コメディ色を強めた結果、展開の強引さが目立ち、尚且つサスペンスの緊張感も失われてしまっている。仮にコメディ寄りにするのであれば、もう少しパンチの効いた演出が欲しい。
 また、サブキャラの弱さもドラマをつまらなくしている要因である。マイコーの亡き後、その娘テスが大きな存在となっていくのだがここが弱い。特に、父娘の情愛を表層的にしか描かなかったことについては大いに不満が残った。彼女はこの映画の言わばヒロインである。その魅力を引き出すには、この父娘関係のバックボーンは避けて通れない部分である。そこに迫りきれていないのは演出の不備としか言いようがない。

 監督は本作で脚本も兼務する新人監督である。処女作なので仕方が無いという見方も出来るが、作りの拙さは他にもいたるところに散見できる。例えば、マイコーは奇術師という設定で、これ自体は大変そそられる設定である。しかし、その技を披露する宝石強奪シーンや刑務所脱走シーンはかなりショボく撮られていてガッカリさせられた。スリリングに見せればかなり盛り上がるシーンだけに実に勿体無い。細かい点で言えば、他にも幾つか物足りなさを感じる演出があった。

 映画全体から感じることだが、おそらくこの新人監督はタランティーノの映画が好きで好きでしょうがないのではないだろうか。製作された2000年代初頭という時代を考えれば、数多のタランティーノ・フォロワーが出てきた時代である。パロディ要素を含んだ作り。延々と垂れ流される与太話。時制を交錯させたプロット。そして、キーマンがドラマから途中退場するという意外性。本作は「パルプ・フィクション」(1994米)を相当意識して作られているのではないかと想像できる。また、主人公フィンチを演じるのがC・スレイターというのも、タランティーノ繋がりで言えば縁のあるキャスティングだ。彼はタランティーノが実質的に初めてシナリオを手がけた「トゥルー・ロマンス」(1993米)に主演している。
[ 2010/12/07 01:14 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

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