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世界最速のインディアン

A・ホプキンスの好演が◎
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(2008/07/25)
アンソニー・ホプキンス、クリス・ローフォード 他

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「世界最速のインディアン」(2005ニュージーランド米)星3
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 孤独な老人バートは、愛車のオートバイ、インディアン・スカウトに乗って世界最速記録に挑戦していた。隣近所に住む少年トムや銀行勤めのハイミス、フラン等、町の人々の協力を得ながら、彼はアメリカのボンヌヴィル塩平原で行われるスピード記録世界大会に出場する。
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(レビュー)
 世界最速記録に挑戦した男の実話の物語。

 バートを演じたA・ホプキンスの好演が光る。年齢を感じさせないバイタリティー溢れる演技で、夢を追いかける老境に差し掛かった男を活き活きと体現している。例えば、地元の暴走族と一戦交えたり、銀行の窓口でいきなりナンパをしたり等々。普通の若者でもここまで積極的な行動に出れないだろう‥というのを飄々と演じている。正にやんちゃなお爺ちゃん‥といった感じだ。また、昔気質な性格ゆえ、周囲に迷惑をかけることが多々あるのだが、それさえも何だか許せてしまうのは、このキャラに人間的な魅力が感じられるからであろう。そもそも、夢を追い求める人間はそれだけで尊いものに思えてしまう。

 物語は概ね3部構成になっている。まず、序盤はニュージーランドを舞台にした周縁との関わり合いを描くドラマになっている。渡米後の中盤からはアメリカ大陸横断を描くロード・ムービー。そして、終盤は最大の盛り上がりどころ、レースシーンとなっている。序盤はやや性急に映る箇所があり、ドラマを追いかけすぎな感じを受けた。しかし、渡米後は地に足が着いたドラマになり、旅で出会う人々との交流でじっくりと見せている。

 中でも、アメリカとニュージーランドのカルチャーギャップが最も面白く見れた。
 例えば、バートが宿泊するモーテルの受付をしているゲイの存在は、いかにもアメリカ的な風俗といえる。周囲の人々は奇異の目で見るのだが、バートは何の先入観も無しに彼との交流を深めていく。特別な存在としてでなく一人の人間として彼に接していくのだ。この大らかなヒューマニズムにはしみじみとさせられた。

 また、その後に出会う先住民のエピソードは、バートのアイデンティティーを探求する重要なエピソードとなっている。アメリカに渡ったバートが砂漠の片隅でひっそりと暮らす先住民に親和性を求めるのは、至極当然なような気がした。アメリカという国を遠い所から見つめる者同士に芽生える友情と言えばいいだろうか‥。土地を乗っ取られた孤立者《先住民》の鬱屈した感情と、世界最速という冠をかけてアメリカに戦いを挑むバート《移民》の感情は、深い所で結びついているような気がする。
 ただ、惜しいかな、このエピソードはそれほど深く突っ込んで描かれない。そもそも、本作にはインディアンというモチーフが存在する。これは先住民の名前とバートの愛車の名前、二つの名前をかけているのだろう。バートのアイデンティティーを追求するなら、ここはもう少しじっくりと描いて欲しかった気がする。

 他にも、様々なキャラ登場して交友が育まれていくが、厳しく見てしまうとやや性善説に偏り過ぎた感じを受けた。ドラマを盛り上げる上では悪人サイドに寄った人物も必要であり、そこを描けなかった所に作品としての限界が感じられてしまう。できればバートと対峙する深みのある悪人を一人くらい登場させてほしかった。

 演出は比較的オーソドックスで総じて綻びが少ない。安心して見る事が出来た。クライマックスの盛り上げ方も上手く演出されており、ラストのレースシーンも手に汗握る興奮が味わえて良かった。
[ 2010/12/29 01:28 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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