バカ映画として楽しんだ者勝ち!
「SPACE BATLESHIP ヤマト」(2010日)
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) 西暦2199年、正体不明のガミラス星からの攻撃で放射能に汚染された地球は滅亡まであと1年と迫っていた。はるか彼方のイスカンダルから通信衛星をキャッチした人類は、放射能除去装置を求めて宇宙戦艦ヤマトを発進させる。
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(レビュー) 1970年代に人気を博したSFアニメ「宇宙戦艦ヤマト」の実写映画化。
元々の設定にアレンジが加えられているが、そこをどう評価するかで本作の好き嫌いが分かれてきそうである。良し悪しあるにせよ、そこが今回の一つの見所と言える。
監督は「ARWAYS 三丁目の夕日」シリーズの山崎貴。当然、彼が率いる白組のCGが最大の見所となる。アメリカのTVシリーズ「バトルスター・ギャラクティカ」やエイブラムス版
「スター・トレック」(2009米)に近い感じの映像が出てくるが、クオリティ面ではさすがにハリウッドの技術には引けをとってしまうと感じた。「世界に挑む‥」なんて帯文句をつけてしまったので、見る目も自ずと厳しくなってしまう。ただ、日本映画の中ではクオリティは高いほうであろう。この頑張りは評価してもいいのではないかと思う。
しかし、脚本と演出については色々と不満が出てきてしまう。
ストーリーはアニメ版の「1」と「2」を合わせた感じである。2時間20分で2クールのTVと1本の映画をまとめたのだから、唐突に思えるシーンや、不自然なシーンは幾つかあった。ここはオリジナルを知る者なら、ある程度察してやる必要があるが、逆に知らない人にはどう映るのか‥。例えば、アニメ版のセリフが幾つか登場してくるが、このセリフは伏線があるから活きてくるのに、その伏線をカットされてしまっては余り意味の無いものに聞こえてしまう。アニメ版を知らない人にとってはサッパリ‥ということもあるかもしれない。どこを切ってこどを入れるか。シナリオ・センスの問題であるが、本作はそこが余り上手くいっていなかったように思う。
山崎監督の演出にも幾つか不満が残った。この映画は基本的にドラマのほとんどが艦内で展開される。この撮り方が余り上手くない。プロダクションデザインの仕事振りにも邦画の限界を感じてしまうし、「世界に挑む‥」ということからすれば演出にもっと気を配る事はして欲しかった。チープなセットをチープに見せないための演出が出来なければ世界に挑めないと思うし、わざわざ実写映画にする意味も感じられなくなってしまう。
また、芝居の演出で一番不自然に思ったのは、古代がコスモゼロで発進するシーンである。森雪の変化が余りにも唐突過ぎて、どうしていいやら‥。
キャストは木村拓哉の古代進を含めオリジナル版を踏襲していない。しかし、これに関しては予め予想してたことでもあり、今回はそこも楽しみの一つとして捉えた。むしろ、柳葉敏郎の真田士郎はオリジナル版に似せようとしているくらいで、これには孤軍奮闘的な愛おしさを覚えた。
敵であるデスラーの設定は不自然なく見せる方法としては”あり”かなと思った。「ヤマト」は敵の描き方にこそテーマが集約されていると言っても良いと思う。今回の敵は完全に「2」以降の「ヤマト」の敵であり、少なくとも「1」で描かれたガミラスでない事は分かる。勧善懲悪に徹した潔さは、ドラマを分かりやすくしているので良いのではないだろうか。逆に「1」のデスラーを期待してしまうと〝なし”になってしまうだろうが‥。