キャストとプロットは◎
「ヴェラクルス」(1954米)
ジャンルアクション
(あらすじ) 南北戦争末期、南軍の元将校ベンは無法者ジョーの盗賊に加わる。一行はメキシコ政府軍と革命軍がせめぎ合う町に辿り着いた。そこで彼らは政府軍の用心棒として雇われた。皇帝宮殿に招待された彼等は、伯爵夫人マリーの旅を護衛する任務を受ける。革命軍の襲撃をかわしながら一行は目的地であるヴェラクルスの港を目指すのだが‥。
楽天レンタルで「ヴェラクルス」を借りようgoo映画映画生活ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 曲者たちが隠し金貨を狙って騙し合いを繰り広げる西部劇。
監督は男臭い映画を撮る事で知られるR・アルドリッチ。本作は彼の監督デビュー作である。ただ、デビュー作ということもあろう。アクション演出についてはまだまだ荒っぽく、後年の作品に比べると余り切れが感じられなかった。特に、モブシーンの処理が凡庸である。敵味方の描き分けが出来ていないため、派手な銃撃戦をしていても緊張感が足りない。唯一、クライマックスの対決だけは良かったが、それ以外のアクションシーンは正直今ひとつパッとしなかった。
本作の魅力は何と言っても主演二人の掛け合いだろう。G・クーパー演じるベンは論理派。B・ランカスター演じるジョーは粗野な悪漢。夫々に対照的なキャラクターを上手く演じている。また、個々の魅力を引き立たせたストーリーも中々面白い。二人の出会いはユーモアを含ませたアクションシーンで始まる。以降も、銃の腕前を披露する宮殿のシーン、旅の中で見せる作戦の食い違い等、キャラクターのぶつかり合いが様々なシチュエーションの中で繰り広げられている。
また、隠し金貨を巡る騙しあいのプロットもよく考えられていると思った。一癖も二癖もある連中が登場して金貨の強奪合戦が始まるのだが、予測不可能で面白く見れた。
今作は全体的にアクション演出に物足りなさが残ったが、こうした俳優の個性を活かしたユーモラスなやり取り、金貨を巡って右往左往するプロットは中々秀逸だと思う。
尚、E・ボーグナインがチョイ役で顔を出している。また、C・ブロンソンも出演していたのだがこちらは気が付かなかった。クレジットはまだ本名であるチャールズ・ブチンスキー名義である。