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エーゲ海の天使

ほのぼのとさせられる反戦映画。
エーゲ海の天使 [VHS]エーゲ海の天使 [VHS]
(1993/10/21)
バンナ・バルバ

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「エーゲ海の天使」(1991伊)star4.gif
ジャンル戦争・ジャンル人間ドラマ・ジャンルコメディ
(あらすじ)
 1941年、エーゲ海をのぞむギリシャの小島に8人のイタリア兵がやって来た。彼らは島民達との触れ合いの中で、戦争という現実を忘れて平和を甘受していくようになる。
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(レビュー)
 淡々としたドラマだが、随所に散りばめられた戦争に対するアイロニーは中々鋭いものがある。ソフティケイトされた反戦映画という感じで、肩の力を抜いて見ることが出来た。“戦争は酷い‥”と言えばとりあえず反戦映画になるが、本作はそうではない。兵士達の日常を見せる事で平和のありがたみを説いている。

 見ようによっては非現実的過ぎるという意見もあろう。しかし、無益な血を流すことで戦争の残酷さを分からせるだけが、正しい反戦映画ではあるまい。戦争と無縁の暮らしは兵士達の願望をよっぽど現実的に捉えているとも言え、戦争に対するアンチテーゼも静かに感じられた。ラテン気質な楽観主義と一蹴することも可能だが、何かと世知辛い世の中だからこそ、彼らが身を持って体現する反戦メッセージには癒されてしまう。

 映画には8人の兵士たちが登場してくる。彼らは夫々に個性的に色分けされている。
 画家を夢見る中尉は、教会のフレスコ画を描くことに生きがいを持つ芸術家タイプである。ロバに恋するストラッツァは、新しいロバとの出会いに心ときめかせる変質的な夢想家。ファリーナは町の娼婦と禁断の恋に落ちる純情少年。脱走兵のノヴェンダはホームシックにかかる悲観主義者。軍人気質のロルッソ軍曹は何でも仕切りたがる番町タイプ。他に、秘密主義な軍曹の腰ぎんちゃく、村娘を奪って恋敵になる兄弟等が登場してくる。皆に共通して言える事は、夫々に自分のやりたいこと、好きな事を謳歌しているということだ。これは紛れもなく個人主義を無視した軍隊に対するアイロニーに他ならない。彼らの活き活きとした暮らしぶりから自ずと反戦というメッセージも伺える。

 笑いはオフビートなものからブラックなものまで、少しクセを持ったものが登場してくる。例えば、序盤のロバのエピソードは実に居たたまれない悲劇だが、同時に戦争の愚かさを見透かした喜劇でもある。そこに何とも言えぬ居心地の悪さが誘発する。この悲喜劇のバランスのとり方は絶妙だ。
 また、中盤に登場するトルコ商人のクダリには知的な風刺も感じられた。地中海を囲むイタリア、ギリシャ、トルコの関係は実に因縁めいていて、島民達がトルコ商人に嫌悪感を持つのには「あぁ、なるほど」と納得させられた。

 ラストは郷愁に堕した感もするが、まずまずといったところか。ただ、このラストが無くても本作は十分に成り立つドラマであると思う。そもそも全編これ寓話‥のようなドラマなので、現実性を強調するようなラストは蛇足な感じがしなくもない。むしろ、その前で終わっていてくれた方が、作品が醸すアイロニーは切れ味が鋭いままこちらに突き刺さってきたように思う。

 尚、本作と似た設定で、N・ケイジが主演した「コレリ大尉のマンドリン」(2001米)という映画が思い出される。某映画解説者の感動したというCMにつられて見に行ったが、正直落胆した。「コレリ大尉~」に比べれば、本作の方が断然奥深い作品である。
[ 2011/01/29 01:21 ] ジャンル戦争 | TB(0) | CM(0)

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