ヲタク青年のハートがガッツリ詰まった快作!
「キック・アス」(2010米)
ジャンルコメディ・ジャンルアクション
(あらすじ) デイヴはアメコミ・ヲタクの冴えない高校生。好きが高じてネット通販で買ったコスチュームを着て、ヒーロー“キック・アス”になって自警団の真似事をするようになる。ある日、強盗を見つけた彼はそれを止めに入る。しかし、あっけなく刺されて瀕死の重傷を負った。数ヵ月後、奇跡的に回復した彼は懲りずに再びパトロールに出た。そこで今度はチンピラの喧嘩に遭遇する。デイヴはその仲裁に入り、その姿がネットに投稿されてキック・アスは一躍有名になった。そんなある日、デイヴは憧れの同級生ケイティからある事を頼まれる。デイヴはキック・アスになってこの依頼を実行するが、これが思わぬ事態を引き起こす。
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(レビュー) ヒーローに憧れるヲタク少年と犯罪組織の戦いを、ハードなバイオレンスとブラックな笑いで綴った作品。
日本では考えられないことであるが、アメリカでは昔から自警団意識が強いこともあり、デイヴのような“なんちゃってヒーロー”が現実に存在するという。
http://www.reallifesuperheroes.org/(リアルヒーロ紹介サイト)
こういう土壌があるので、本作のような映画が生まれても何の不思議もないという気がする。もっとも、現実には流石に映画のような危険な事件には関わらないようだが‥。
さて、色々と突っ込みどころはあるのだが、基本的にバカ映画のスタンスで作られているので、一々突っ込みを入れても仕方がない作品である。むしろ、徹底してヲタク・スタンスに寄っているところに好感が持て、最後まで楽しく見ることが出来た。
デイヴの情けなさに愛情を注ぎ込んだストーリーは、もてないヲタクにしか分からない心理を上手く拾い上げ、彼を共感できる愛すべきキャラクターに仕立てている。彼はその辺のアメコミ好きとは比較にならない程のディープなヲタクで、現実と妄想がごっちゃになって本気で自分がヒーローになるんだと信じ込んでいる。すでにこの時点でヲタク達のヒーローでもあるのだが、この一本筋が通った“漢”らしさは実にアッパレである。‥と同時に、やはりバカでもある。それによって実際に命を失いかけ、それでも尚彼はキック・アスをやり続けるのだから‥。
しかし、世間はここまで突き抜けたバカには頭を垂れるものだ。デイヴの頭の中の妄想でしかなかったキック・アスは、ネットで火がつき実在のヒーローになっていく。そして、愛しのケイティをゲットする口説きのアイテムよろしく、デイヴは“キックアスでいる事”を利用していくようになるのだ。社会から虐げられてきたヲタクの逆襲である。実に微笑ましい。
ただ、この映画はここまでだったら鼻歌交じりのサクセス物に過ぎなかっただろう。物語はその後にハードな展開が待ち受けている。
ビッグ・ダディとヒットガールという、まるでアメコミから本当に飛び出してきたようなヒーロー達が登場して活躍するのだ。これによって、デイヴのやって来た事は単なる子供のコスプレごっこに過ぎなかったこと、本当のヒーローとはこういうのもだという現実を突きつけられることになる。それによってデイヴは挫折を味わっていく。映画はここをデッドセンターにして、デイヴの葛藤、クライマックスへとスパイラルアップしていく。ハリウッドのエンタテインメント作品の多くはこのレトリックを支柱としているが、本作も例に漏れず。かなり律儀に踏襲しており、バカだ何だと言っても案外周到なドラマ作りが成されている。
アクションシーンでは、何と言ってもクライマックスのヒットガールの活躍が見所だ。派手な銃撃戦を演じているのだが、コミック的なアイディアやパロディ等を盛り込みながら、単調にならないような工夫が凝らされている。このロリ&クールさは、「ニキータ」(1990仏)の女殺し屋最年少記録をを完全に超えたと言っても過言ではない。
また、ビッグ・ダディを演じたN・ケイジの頑張りも◎。彼の顛末には笑えて泣けた。ビッグ・ダディとヒットガールのコンビは本作におけるキーマンで、相当以上の活躍を見せている。
監督・脚本のM・ヴォーンはプロデューサーから監督になった経歴を持つ人物である。G・リッチー監督の「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バベルズ」(1998英)や「スナッチ」(2000米)等、スタイリッシュな作品をプロデュースしてきただけあり、本作のようなコミックブック・スタイルな演出には手練を感じた。今後も要注目の作家だと思う。
今晩は!ありのさん、今僕はヒックとドラゴンのDVDを見ながら書き込みしています。この映画の主役を演じている俳優さんは、「ヒックとドラゴン」で太めの体形の「ドラゴン」に詳しいバイキングの少年フイッシュ君を演じています。この俳優さんは、オタク系の役が似合うのでしょうでしょうか?今週金曜日には、日本映画最高峰の祭典である「日本アカデミー賞」があります。どんな作品が選ばれるのでしょうか?
こんばんは、にょろ~ん。さん。
「ヒックとドラゴン」で声を当てていたのですか。
この俳優さんは見た目も演技も、ひ弱なヲタク青年といった感じで良かったですね。
「日本アカデミー賞」ですか。もう今年もそんな時期なんですね。そう言えば、アメリカのアカデミー賞もそろそろですね。
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