あ‥バカ映画めっけ!
「デス・レース」(2008米)
ジャンルアクション・ジャンルSF
(あらすじ) 近未来のアメリカ。刑務所の運営は民間に委託され、そこでは囚人による殺人ショーレースのインターネット中継が行われていた。元レーサーのエイムズは何者かに妻殺しの罪をきせられこの刑務所にやって来た。所長のヘネシーは恩赦を条件に伝説のドライバー、フランケンシュタインの身代わりになることを強要する。こうして彼はレースに出場することになるのだが‥。
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(レビュー) 殺人レースを描くSFアクション作品。
監督・脚本は、これまでに数多の自己趣味映画(敢えて言う)を撮ってきたポール・W・S・アンダーソン。映像にしろデス・レースのシステムにしろ、いかにも彼好みのゲーム感覚溢れる表現が横溢し、これまで同様彼の中二病気質が丸分かりな作品になっている(笑)。
尚、本作は伝説のカルト・ムービー
「デスレース2000」(1975米)をリメイクした作品であり、オリジナル版を製作したR・コーマンが今回も製作総指揮で参加している。
オリジナル版から色々と設定の改変が見られる。元々が無理すぎる設定だったので、この改変はごく自然の流れと言う気もするが、逆に言うとオリジナル版にあった馬鹿馬鹿しさが薄まったという気がする。それによって本作は何となく小さくまとまってしまった。
まず、キャラの改変であるが、これが一番の大きな違いである。オリジナル版はキワモノ揃のレースで、それこそマンガのような設定だった。今回のレーサーは皆極悪犯罪者とはいえ、随分まともになってしまっている。少なくともオリジナル版のような怪物や変人の類ではない。
また、刑務所をレース場にしたことで、世界観がスケールダウンしてしまっている。オリジナル版は大統領が主催する大陸横断レースだった。それを考えれば、いかに本作が“せこい”かが分かるだろう。
これらはオリジナル版の破天荒さ、馬鹿さを後退させてしまったという点で不満が残った部分である。
逆に良かったと思うのはデスレースのゲームシステムだ。これはオリジナル版よりもアイディアが工夫されている。マリオカートよろしく、コースのポイントをゲットして武器が使えるようになるシステムが面白い。それによって、レースのスリリングさが増す。ゲーム好きなアンダーソンならではのアイディアだろう。
しかし、相変わらずアンダーソンの脚本は突っ込みどころが満載で余り感心できるものではなかった。第一にセオリーに忠実な構成がつまらない。次にどんな展開が待ち受けているのか、先が読めてしまう。それに、穴が多すぎるのも難点だ。たとえば、ナビとして同乗するエリザベスとの関係などほとんど描写がないのに、最後はいつの間にか愛し合う仲になっている。どう見てもやっつけなシナリオというほかないだろう。
レースの演出はスピード感があって良かったと思う。特に、所長が差し向けた秘密兵器を倒す中盤のシーンはかなりテンションが上がった。また、オリジナル版にあったブラックな演出を意識的に取り入れているところにも好感が持てた。この“ちょっぴりな反骨精神”は製作のR・コーマンのおかげかもしれない。
どうやら、本作の人気を得てパート2も製作されたということである。日本ではビデオスルーな上に本作のスタッフがタッチしていない所に不安が過ぎる。ただ、キャストにD・トレホの名前があるので、何となく無視することもできない。機会があれば見てみたい。