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怪異談 生きてゐる小平次

古典的な怪談。映像が不気味。
「怪異談 生きてゐる小平次」(1982日)星3
ジャンルホラー
(あらすじ)
 売れない役者をしている小平次は、幼馴染で囃子方をしている太九郎と将来の成功を夢見ていた。しかし、その友情の裏で小平次は太九郎の妻おちかに密かな想いを寄せていた。ある日、3人は旅に出る。その道中、太九郎が病に倒れる。その隙に小平次はおちかに迫った。ところが、彼女の口から衝撃的な告白が‥。太九郎の子供を身ごもっており生みたくないと言うのだ。そして、彼女は自ら滝に当たり流産する。何も知らない太九郎は悲しみに暮れる。やがて、小平次と太九郎は旅一座の芝居で巡業することになった。そこで再び事件が起こる。
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(レビュー)
 愛憎のもつれから殺された小平次の怨念に追い回される夫婦の恐怖を、悪魔的なタッチで描いた物語。
 監督は「東海道四谷怪談」(1959日)や「地獄」(1960日)で知られる鬼才・中川信夫。本作は彼の遺作である。

 氏の持ち味である禍々しいトーンは相変わらず健在で、死んだ小平次が何度も蘇って夫婦の前に姿を現す様はかなり不気味である。また、太九郎が見る悪夢シーンのシュールでグロテスクな光景には背筋が凍る思いがした。いかにも日本的な陰湿な恐怖が感じられる。
 一方、それとは対照的に自然を捉えた景観は実に美しい。不気味さを漂わせた薄暗い屋内とのコントラストでその美しさはよりいっそう際立たち、映像については全般的に見応えがあった。

 ただ、登場人物はたったの3人でドラマも極めて必要最小限にしか展開されず、全体的にボリューム不足な感じは否めない。演出的にももう少し小細工が欲しい。結局、小平次の怨念に追い詰められる夫婦のサスペンスがワンパターンなため、見ていて少々だれてしまう。本作は小話程度に捉えると丁度良いのかもしれない。

 芝居がモティーフになっていることから、随所に登場する芝居のシーンは中々面白かった。特に小平次を演じた藤間文彦はあの藤間勘十郎の子息ということで、ある程度芝居に通じているのであろう。声の張りや見えの切り方は慣れた感じである。

 一方、彼以外の他の二人の演技は弱い。特に、太九郎を演じた石橋正次のへたれっぷりがいただけなかった。旅に出ては病に倒れ足が痛いとへたれこみ、この虚弱体質はほとんどコメディのように写る。前半こそDV夫の腕力を見せ付けて中々良かったのだが、後半は逆におちかに突き飛ばされる始末である。前半と後半では、とても同一人物には見えず、シリアスに造形にすればするほど逆に滑稽に見えてしまった。
[ 2011/02/16 00:39 ] ジャンルホラー | TB(0) | CM(0)

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