余り笑えず残念‥。
「寝取られ男のラブ♂バカンス」(2008米)
ジャンルコメディ・ジャンルロマンス
(あらすじ) 長年付き合っていた恋人サラに振られたピーターは、失恋の痛手を忘れるためにハワイへやって来た。ところが、運の悪いことにホテルでサラにバッタリ再会する。しかも彼女は新しい恋人とそのホテルに宿泊していた。彼女への未練を断ち切れないでいる中、ホテルのフロント係レイチェルに慰められながらピーターは新しい恋に生きようとする。
楽天レンタルで「寝取られ男のラブ♂バカンス」を借りようgoo映画映画生活ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!


(レビュー) 失恋男の傷心旅行をコミカルに描いたロマンス作品。
製作にJ・アバトーの名前がある。彼は、以前このブログで紹介した
「40歳の童貞男」(2005米)の監督である。「40歳の童貞男」と比べると、本人が監督していないせいか、今ひとつパンチに欠ける内容で精彩を欠く。寝取られ男のメソメソした姿を笑いに転化した試みは買うが、何故そこをもっと徹底して描かなかったのか‥。
例えば、ピーターの新しい恋に生きようとする切実なる葛藤は、元恋人サラを変化させるでもなく、レイチェルのハートを動かすでもなく、物語の原動力を成す物としては、ぼやけたものとなってしまっている。レイチェルに自作のロックオペラを聴かせる所までは良かったが、それ以降の彼の気持ちはサラとレイチェル、どちらを向いているのかよく分からなかった。この煮え切らなさが恋なのだ‥と言われれば、確かにその通りなのだが、本作はコメディである。そこに笑いを組み込まなければ何の意味もない。
これがシリアスな愛憎ドラマなら、この煮え切らなさにフラストレーションを託して恋愛の不確実性、幻想性を訴えることになろう。コメディなら、この日和見な態度を徹底してブラックに糾弾することで笑いに転化しなければならない。そして、痛い目に合った後に男らしくけじめをつける‥という風にしたらドラマのカタルシスも生まれる。どうも今作はそのあたりの作りが中途半端で、突き抜けた笑いが無かったのが残念である。
全ては脚本の問題なのだと思う。ピーターを演じるジェイソン・シーゲルが自分で脚本を書いている。彼の本職はコメディ俳優であり脚本家ではない。やはりここはアバトー自身が書くか、プロのライターにやらせた方が上手くいったのではないかと思う。現に展開に躓くようなところもあるし、不要なサブキャラもやたらと多い。
一方、演技の方はさすがに笑いのツボを心得ている。例えば、壁を隔てたセックス対決のシーンは下世話で笑えた。また、サスペンスTVのネタなどはいかにもありそうで面白かった。