FC2ブログ










それでも恋するバルセロナ

奇妙な三角関係を陽気に怖く描いた作品。
それでも恋するバルセロナ [DVD]それでも恋するバルセロナ [DVD]
(2010/08/27)
スカーレット・ヨハンソン

商品詳細を見る

「それでも恋するバルセロナ」(2008スペイン米)星3
ジャンルロマンス・ジャンルコメディ
(あらすじ)
 映画監督を目指すクリスティーナ、婚約中の大学生ヴィッキー、二人は夏休みを利用してバルセロナにやって来た。ある晩、レストランで売れない画家アントニオに出会う。彼は暴力沙汰で離婚した悪名高き男だった。ヴィッキーは乗り気でなかったが、クリスティーナが彼に一目惚れしてしまい週末旅行に出かけることになった。ところが、運悪くクリスティーナは食あたりで寝込んでしまう。その間にヴィッキーは、アントニオに強引に迫られ酔った勢いで一夜を共にしてしまった。旅行から帰ってきてから、クリスティーナの元にアントニオから連絡が入った。再会を喜んだ二人はそのままアントニオのアトリエで同棲することになる。そこにアントニオの元妻マリアが自殺未遂をしたという報が入る。
楽天レンタルで「それでも恋するバルセロナ」を借りよう
goo映画
映画生活

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ


(レビュー)

 奔放な女性と堅実な女性。彼女等を愛した男と彼の元妻。4人が織り成す恋愛模様を軽妙に綴った作品。

 監督・脚本はW・アレン。活動拠点だったニューヨークを飛び出してイギリスで「マッチポイント」(2005英米ルクセンブルグ)を撮り、スペインで本作を撮った。御年70歳を越えてこの精力的な活動。いやはや頭が下がる思いである。今回は情熱と芸術の国スペインの美しい景観をフルに活用しながら、今まで見られなかった新鮮な映像トーンを打ち出している。

 最も際立つのは映像のポップさである。ラテンの国特有の陽光眩しい解放的なロケーションが、複雑に入り乱れた愛憎ドラマをどこか屈託のないものに見せている。アレン作品の中にはこうした男女のスワッピング関係はよく出てくるが、本作ほどあっけらかんと見れる作品もそうそうないだろう。完全にコメディに特化した一部の作品は別として、こうした愛憎ドラマは映像のトーン次第では見ていて辛くなるくらい隠滅とした作品になってしまう。それが本作には全く感じられなかった。

 それにしても、今回も完全に女性上位のドラマになっている。これはアレン作品の一つの定型とも言える。他の作品に登場する男達と同様、本作のアントニオも些末で卑小なキャラに造形されている。
 そもそも、彼の恋愛観はプレイボーイの一言で片付けるには余りにも常識外れ的な所がある。ラテンの血と言ってしまえばそれまでだが、我々日本人からすると彼の恋愛観は危険すぎてついていけない。何しろ親友同士の女をいっぺんに食ってしまったり、その傍らで別れた女房と寄りを戻したり‥。能天気というか、何も考えていないというか‥とにかく彼の行動は自爆行為以外の何物でもないのである。
 また、彼は一応芸術家を名乗っているが、その才能は全くと言っていいほどない。あまつさえ他人の作品の盗作をする始末である。ここまでダメな男だともはやつける薬がないという感じがするが、世の中にはダメな男に惹かれる女性というのもいるもので、それが今作の3人の女たちである。

 女性陣に目を向けると、クリスティーナ、ヴィッキー、マリア、夫々の恋愛観が明確に主張されていて、3人の思考の違いも見えてきて面白い。

 特に、後半から登場する元妻マリアは異彩を放っている。P・クルスが独壇場の演技を見せるのだが、彼女は他の二人にはないアクの強さを持っている。
 彼女はアントニオと同じ芸術家を生業としている。恋愛観もかなりアート志向で、元夫アントニオの不倫をどこ吹く風で眺めながら、あろうことか浮気相手であるクリスティーナとレズビアンの関係になってしまうのだ。そもそも彼女は自殺未遂の過去を持っており、こうした常人では理解しがたい激情的な行動によく出るのである。危険な香りがする実に面白いキャラクターになっている。

 元々、P・クルスはこうした尖った演技は得意な女優なので、今回のマリアは適役と言えよう。過去にJ・デップと競演した「ブロウ」(2001米)という作品があった。その時の彼女の甲高い声は要以上に耳障りに感じ余り好きになれなかったが、それと比べると今回は幾分抑制が効いていて見やすくなっている。これはアレンの演出による所なのか、彼女が積み重ねてきたキャリアがそうさせたのか分からないが、ともかくクルスの存在感は本作でピカ一だった。

 一方、クリスティーナを演じたS・ヨハンソンは、完全にクルスに食われてしまった感じがする。前半のレストランのシーンでアントニオの股間をチラ見する演技は下世話で良かったものの、それ以降はどうも精細さに欠く。アレンと組んだ前々作「マッチポイント」に比べると、正直今ひとつという気がした。

 もう一人の女ヴィッキーについても不満が残った。後半からクリスティーナとマリアの方にドラマの比重が傾いていくため、どうしても彼女の影が薄くなってしまう。彼女のエピソードの処理の仕方も中途半端でいただけなかった。ここまで中途半端にするくらいだったら、むしろバッサリとカットしてしまっても良かったのではないだろうか。絞って描くことで見やすくなる場合もある。
[ 2011/04/25 01:17 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/754-796d7a7d