POPで楽しいミュージカル。
「ロシュフォールの恋人たち」(1966仏)
ジャンルロマンス・ジャンルコメディ・ジャンル音楽
(あらすじ) ロシュフォールでバレエ教室を開いている美人姉妹、デルフィーヌとソランジュは町の男達の注目の的だった。デルフィーヌにはギョームという画商が、ソランジュにはダムという楽器屋が恋焦がれていたが、当人たちは新しい出会いを求めていた。そこに年に一度の祭りで旅一座がやって来る。一座の若手ダンサー達も姉妹に一目ぼれする。しかし、二人はそれも袖に振った。更に、休暇中の水兵マクサンス、音楽家アンディも加わり、美人姉妹の恋模様は複雑に絡み合っていく。
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(レビュー) 豪華キャストで送るミュージカル映画。
ロシュフォールの名物美人姉妹を巡って様々な男たちが恋の駆け引きをしていく楽しいミュージカルである。
まず、なんと言っても画面がポップでカラフルな所が面白い映画である。姉妹が着る衣装もコロコロと変わるので見ていて飽きない。華やかなミュージカル然とした作りは実に潔いと思った。
音楽はM・ルグラン。ジャジーな音楽がダンスと歌を軽快に盛り上げている。彼の代表作と言えば「シェルブールの雨傘」(1963仏)だが、本作はそれとは違った明るいテイストの音楽で統一されている。彼の手腕が存分に堪能できる。
キャストはアメリカとフランスの混合で構成されている。
アメリカ側からはJ・ケリー、J・チャキリスが出演しており、流石にこの二人のダンス・シーンは見事だった。
フランス側からはC・ドヌーヴ、F・ドルレアックが美人姉妹を演じている。実際の姉妹ならではの息のあった歌唱シーンは必見である。尚、ドルレアックはこの後に急逝しており、二人の競演は本作のみということで、この映画は貴重な1本という事が出来よう。また、Mピコリ、J・ペランといった意外なキャストも登場してくる。ミュージカルシーンは今ひとつであるが、ドラマパートを堅実に支えている。
ストーリーも中々見応えがあった。デルフィーヌとソランジュを巡って6人の男が争奪戦を繰り広げるのだが、クライマックスのツイストも上手く演出されていて最後まで飽きさせない。さらに、姉妹の母の過去の恋慕も挿話され、鑑賞感は豊潤である。ラストにほのぼのとさせられた。
ただ、歌の途中で挟まれるセリフはバタ臭く、どうしてもそこだけは見ていて辛いものがあった。
例えば、ソランジュとアンディの出会いのシーンなどは臭すぎてあまり入り込めなかった。ミュージカル特有の臭さと言えばそれまでだが、そこを見やすくする工夫はあったと思う。例えば、わざわざセリフとして発するのではなく、「シェルブールの雨傘」のように全てを歌詞として統一してしまえば、そういうものなのだ‥ということで、すんなり見れたかもしれない。このあたりはミュージカル慣れしてないと厳しいものがある。