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荒野のストレンジャー

イーストウッドが監督した異色の西部劇。ちょっと怖い…。
荒野のストレンジャー [DVD]荒野のストレンジャー [DVD]
(2006/06/23)
クリント・イーストウッド、ベルナ・ブルーム 他

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「荒野のストレンジャー」(1972米)星3
ジャンルアクション・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 ある町に流れ者のガンマンがやって来る。彼は因縁をつけたチンピラを撃ち殺し、娼婦を犯すと、我が物顔で町に住み着くようになった。この町の人々は大きな不安に襲われていた。鉱山会社の金塊強奪の冤罪で投獄されたステイシーとカーリン兄弟が、近々この町に復讐しに舞い戻ってくるからだった。人々はこの流れ者のガンマンに用心棒役を頼むのだが‥。
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(レビュー)
 流れ者のガンマンの復讐をミステリアスに綴った異色の西部劇。

 監督・主演はC・イーストウッド。本作は彼の監督第2作目になる。前作「恐怖のメロディ」(1971米)で師匠D・シーゲルの指南を受けながら卓越したスリラー演出を見せたイーストウッドだが、本作にも所々に目を見張るようなタッチが見られる。一見するとただの西部劇に思えるが、実は○○○だったというところが実に面白い。ちょっと変わった西部劇を見たい‥と言う人には、うってつけの作品だろう。

 特に、灼熱地獄と化すクライマックスが印象に残った。その後のオチも強烈である。こういうのは一発ネタであり本来は邪道なのだが、西部劇というジャンルだけにかなり衝撃的である。不条理劇と言えば良いだろうか‥。何とも形容し難いスタイルに作品のテイストをガラリと変容させていく所に、作劇の計算高さが感じられた。見ている最中ずっと、風呂場の銃撃シーンが不自然で仕方がなかったのだが、見終われば「あぁ、なるほど‥」と合点がいった。全てがこのオチで納得させられてしまう。

 イーストウッドは、S・レオーネのマカロニ・ウェスタンによって用心棒というキャラに自らの役者として礎を築いたわけであるが、本作は正にその上に乗っかったような作品だと言える。但し、そう単純にいかない所が今作の面白い所である。観客は彼が早撃ちで悪人達をバッタバッタと撃ち殺していく様を見たいと思う。しかし、実際にはそのようにはならないのだ。自らに求められるものとは正反対のものを見せることで、見る側をアッと驚かせる。これも彼一流の遊び心だろう。

 前作「恐怖のメロディ」にも共通して言えることだが、この頃の彼は他の監督たちによって着色された自分の役者としてのイメージ、タフでマッチョなヒーロー像を覆そうと、自らの作品で正反対のイメージを形作していったような気がする。おそらくは固定されたイメージに縛られたくないために、自分を貶めたり、朧たる存在にしながら、既存のキャラクターからの脱却をはかったのだろう。後年、ストレートな西部劇を撮ることになるイーストウッドだが、実は初期時代はかなり捻った作品を撮っていることが、処女作「恐怖のメロディ」とこの作品から伺い知ることが出来る。
[ 2011/05/31 01:21 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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