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「ソドムの市」(2004日)
ジャンルホラー・ジャンルコメディ・ジャンルSF
(あらすじ) 18世紀、ある国の王妃が暗殺される。犯人の罪を着せられた二人の侍女が、王の市兵衛に呪いの言葉を吐き捨てながら死んでいった。それから300年後、市兵衛の子孫、市郎は殺人を犯しながら大人に成長した。晴れて結婚することになるが、その祝宴で悲劇が起こる。たった一人の家族である妹が、嫉妬に駆られて花嫁を殺してしまったのだ。実は、それは300年前の侍女の呪いだった。
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(レビュー) 300年前の怨念によって運命を狂わされていく青年、市郎の戦いを描いたホラー・コメディ。
低予算のデジタル撮影という条件下で製作された「ホラー番長」シリーズの1本である。監督・脚本は「リング」(1998日)や「血を吸う宇宙」(2001日)等の脚本を手がけた高橋洋。
基本的に緩いコメディであり、決してガチなホラー作品ではない。予めそれを知っていれば、その程度‥と割り切れたかもしれない。しかし、タイトルがタイトルだけに釈然としない思いも残った。パゾリーニの「ソドムの市」(1975伊)の“本気度”を知る者としては、この映画の緩さが何だか片手間に作られているような感がしてならなかった。
映像にしろ演技にしろ、この映画はどこからどう見てもチープに作られている。プロの仕事とは到底思えない。先述の通り、予算や人材の問題がネックになっていることは分かる。しかし、いくら限られた環境でもアイディアと工夫次第では面白い映画は作れるものである。‥ということは、このスタッフは敢えて確信犯的に低レベルの物を作って見せているのだろうか?テレビに流れるコントだと思えばコレくらいで丁度いいのかもしれないが、お金を払って見る程のエンタテインメントがこの作品の中には見つからなかった。
それでもまぁ、見所となるのはクライマックスのアクション・シーンとなろう。かなり派手に作られている。おそらく普通に考えたら、このスタッフはこのレベルくらいのものは撮れるのだと思う。だからこそ、その熱意を作品全体にぶつけて欲しかった。
ドラマも退屈する。オカルト、SF、ミュージカル、カンフー、西部劇、様々なジャンルのごった煮映画で、このカオス感は決して嫌いではないが、「血を吸う宇宙」の二番煎じと考えると新味も薄れる。そして、最も肝心となるギャグ。これが余り笑えなかった。