豪華な顔ぶれが揃うオムニバス作品。
「10ミニッツ・オールダー イデアの森」(2002英独スペインオランダフィンランド中国)
ジャンルファンタジー・ジャンルSF・ジャンルドキュメンタリー・ジャンルロマンス
(あらすじ) 世界各国の巨匠が集ったオムにバス作品。
「水の寓話」不法入国者が仙人と出会う話。
「時代×4」4つの異なるエピソードを交錯させた物語。
「老優の一瞬」今際の老人の走馬灯を描く話。
「10分後」結婚記念日を迎えた夫婦の悲劇を描いたエピソード。
「ジャン=リュック・ナンシーとの対話」著名な社会学者との対話を描いたドキュメンタリー。
「啓示された者」ある一家のキャンプ風景を蝿の目線で描いた話。
「星に魅せられて」宇宙飛行士の数奇な運命を描いたエピソード。
「時間の闇の中で」時間の概念を問うたコラージュ作品。
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(レビュー) 10分という時間的制約の中で、名だたる巨匠達が様々なテーマを自由に綴ったオムニバス作品。作り手側の独創的な感性が存分に出たオムニバス作品で、夫々に興味深く見る事が出来た。但し、ストーリー性を重視するよりも、映像や構成に凝った作品が多く、見る人の感性が試されるようなところがある。そこにフィットすれば面白く見れるだろうし、そうじゃないと見ていて少々辛い作品かもしれない。
実験作という意味で言えば、M・フィギスが監督した「時代×4」の4画面分割の作品が斬新である。一人の男が4つの画面で起こるドラマの中を巡るという奇抜なスタイルで、音と映像が氾濫するため今ひとつ何を言いたいのかよく分からない部分もあるが、このアイディアとセンスは買いたい。
「老優の一瞬」もアバンギャルドな作品で興味深い。実際の老俳優のこれまで半生を、彼が演じてたキャラクターを使って様々にコラージュしている。正に走馬灯とはこういうものなのかもしれない‥。そんな不思議な感覚に捉われた。
「時間の闇の中で」はJ・L・ゴダールの作品。近年彼が得意とするパッチワーク的な作品で、哲学的なメッセージを含んでいるが、何せ10分という短い時間では語りつくせぬものが多すぎる。そのため、やや中途半端な作品になってしまった。
逆にドラマ性があったのはM・ラドフォード監督が撮った「星に魅せられて」という作品である。SFとしてはよくある話なのだが、起承転結がしっかりと織り込まれていて他の作品に比べるとかなり取っ付きやすい。
B・ベルトリッチが監督した「水の寓話」もドラマチックな展開を見せる。訓話として洒脱が効いているし、何よりたった10分という短い時間の中に20年という大河を描こうとした逆転の発想が素晴らしい。
他に、アイディアとして面白かったのは「啓示された者」である。延々と空中を跳ぶ蝿目線のPOVカメラによって綴られた作品で、何とも奇妙な味わいをもたらす。しかも、蝿のモノローグがやたらと哲学者気取りな所がやけに可笑しい。名前(オチ)も洒落ている。