テレビのスペシャル版としてライトに見れば楽しめる。
「容疑者Xの献身」(2008日)
ジャンルサスペンス・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ) ある川岸で顔と指紋を潰されたが変死体が発見される。貝塚北署の刑事内海と草薙は、天才物理学者湯川に捜査の協力を依頼した。その後、現場近くで発見された指紋から被害者の身元が判明する。容疑は彼の元妻子にかかり、早速湯川は彼女達のアパートを訪れた。すると、そこで旧友・石神に再会した。湯川は石神が事件に深く関わっているのではないかと睨む。
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(レビュー) 直木賞受賞の東野圭吾の同名原作を映画化した作品。本作の前に同じキャラクターで描かれたテレビシリーズがあった。この劇場版はテレビ版のヒットを受けて同じキャスト・スタッフで製作された作品である。
テレビ版は“ガリレオ”こと湯川の華麗な推理が一つの見所となっていたが、本作の主人公は湯川ではなくて事件の渦中に登場する石神になる。彼は高校の数学教師をしている、他者との繋がりを持てない閉鎖的な中年男である。その孤独は隣に住む事件の容疑者花岡靖子に対する愛で癒されていく。つまり、事件の裏側で語られる悲しき愛‥それが本作のメインのドラマとなっている。石神の屈折した愛情は実に不憫に思えた。
ちなみに、事件の成り行きは既に冒頭で明かされている。推理する面白みはあまり無いが、それでもクライマックスには意外などんでん返しが用意されているので、最後まで面白く追いかける事が出来た。
ただし、途中の警察捜査に色々と引っ掛かる部分があり、サスペンスの緊張感が余り感じられなかったのは残念であるが‥。
また、全体的にテレビ的というか、こじんまりとした作りになっているのも残念だった。中盤の雪山シーンもロケーションを活かしきれてるとは言い難い。スクリーンでこそ映えるようなスケール感、細部に渡る画面の作り込み、演者の激しい衝突をもっと見せて欲しかった。
アバンタイトルはテレビのスペシャル版か何かの流れだろうか?本筋にまったく関係がなかったので、何だか取ってつけたように感じられた。また、テレビ版のレギュラー陣だろう。物語に一切絡んでこないゲスト的な立ち居地のキャラもいた。こういうところが1本の独立した映画としてみた場合、不要に思える部分である。
総じてストリー自体は面白いのだが、全体的な作りがテレビのスペシャル版の域を出ておらず物足りない作品だった。