「ミルク」と合わせて見るといいかもしれない。
「ハーヴェイ・ミルク」(1984米)
ジャンルドキュメンタリー・ジャンル社会派
(あらすじ) 自らゲイである事を公言しサンフランシスコの市政執行委員になった実在の活動家、ハーヴェィ・ミルクの素顔に迫ったドキュメンタリー映画。
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(レビュー) S・ペン主演の
「ミルク」(2008米)を先に見ていたので、ある程度人物像を知った上での鑑賞である。
正直な所、「ミルク」は彼の政治活動に主眼を置いた作りになっていたので、見終わっても今一つ物足りない作品だった。それに比べたら本作には”伝記物”としての面白さがある。「ミルク」に足らなかった私的な側面が多分に入っていて人間ドラマ的な趣が感じられる。
例えば、彼の生い立ちや暗殺後の世間の反応といった辺りは興味深く見ることができた。ミルクがどういう生い立ちを辿り、最終的にどういう死に方をしたのか?彼の生き様が克明に描かれており、「ミルク」では得られなかった感動を味わえた。
また、周囲のインタビューを紹介しながら、彼の人となりを立体的に浮かび上がらせたところも中々手堅いと思った。ミルクの人物像がより鮮明に理解できた。
ただ、欲を言えば賛否両方の意見を聞いてみたかった気がする。どうしても賞賛の声が大きくなってしまっている。この手のキュメンタリーではよくあることだが、これは仕方がないことか‥。まさか同性愛者の人権運動に大きく貢献したヒーローである彼を、悪くは描けまい。
作りはいたってシンプルだが、冒頭とクライマックスを繋げるドラマチックな構成はよく考えられていると思った。特に、クライマックスとなる4万5千人のデモは圧巻である。「ミルク」のラストでも印象的に描かれていたが、正にあれと同じ光景がここでも見られる。
それにしても、実際のハーヴェイ・ミルクはJ・バルデムによく似ている。S・ペンではなく彼が「ミルク」の主演だったら‥と思ってしまうくらいよく似ていた。