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人間の條件 第3部望郷篇/第4部戦雲篇

軍内部の非道を描いた直球勝負な反戦映画。
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「人間の條件 第3部望郷篇/第4部戦雲篇」(1959日)star4.gif
ジャンル戦争・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 関東軍に入隊した梶は厳しい訓練を受けていた。離れて暮らす妻美千子のことを夢に見ながら、終戦を待ち望む日々が続く。そんなある日、行軍の任務中に同じ班の小原が落伍した。皆の見てる前で古参兵から虐待を受けた彼は、その夜自殺した。更に、梶が唯一信頼する新城一等兵も脱走した。一人残された梶は心身ともに衰弱し病院に運ばれる。その後、どうにか体調が回復し再び隊列に復帰する。梶はそこで親友影山と再会する。
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(レビュー)
 全6作で描く戦争巨編「人間の條件」の第3部と第4部。全ストーリーの中盤にあたる本作では、梶の過酷な兵役体験が綴られている。人権を無視した懲罰、リンチを描きながら、戦争の無情さ、理不尽さを浮き彫りにした骨太な作りは見応えがあった。

 本作で描かれる軍内部の腐敗と混乱ぶりは、以前紹介した山本薩夫監督の力作「真空地帯」(1952日)に通じるようなテーマだと思った。
 梶以外に小原という兵士が登場してくるが、彼に対する虐めなどは見ていて本当に気の毒になってくる。グズでのろまで何をやらせてもダメな、いわば落ちこぼれ兵士なのだが、それが古兵の虐めのターゲットになってしまう。見るに見かねた梶は小原を救おうとするが、その甲斐なく彼は自ら命を絶ってしまう。助けてやる事が出来なかったことの悲しみ、自らの無力さ、自責の念が梶を苦しめることになる。
 その後も映画は軍の腐敗を描いていく。信頼する先輩兵士新城の脱走エピソード、親友影山との再会、まだ年端も行かぬ初年兵への教官体験。こうしたエピソードを通して梶は人間性を殺してしまう戦争の理不尽さ、怖さを思い知りながら、軍の不文律を切り崩そうと孤軍奮闘していく。そして、いかに人間らしく生きるか‥という根本的な命題が模索されていく。第1部・第2部同様、人間の尊厳が声高らかに謳われている。

 さらに、今回の白眉は何と言っても、第4部で描かれるソ連軍との死闘だろう。ドイツ軍の降伏、沖縄での敗戦を経て、戦況は悪化の一途を辿り、もはや関東軍は玉砕覚悟の特攻に出る事になる。犬死としか言いようが無い無謀な作戦に借り出される兵士達の姿が実にやるせない。ここで梶は小原を救えなかった自責を益々増幅させていくのだが、その境地に到るエンディングは見事だった。緊迫感溢れる演出も素晴らしく、死線を渡り歩く兵士の恐怖がリアルに再現されている。

 今回も小林正樹監督の演出は終始堅実である。また、映像のスケールも第1部・第2部に続き壮大で手抜き感はまったく見られない。

 ただ、シナリオ上、梶と影山の関係に深く踏み込みきれていない‥という印象は持った。
 美千子を挟んだ盟友の思いは描き方次第ではもっとドラマチックに盛り上げることができたと思う。影山からすれば美千子に対する未練がないわけではない。梶からすれば美千子を幸せに出来なかったことに対する申し訳ないという気持ちがあるだろう。再会した二人の間に一体どんな思いが交錯したのか?そこを丁寧に描けば、中盤は更にドラマチックになったと思う。
[ 2011/08/16 20:22 ] ジャンル戦争 | TB(0) | CM(0)

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