映像は必見。
「落下の王国」(2006インド英米)
ジャンルファンタジー・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ) 1915年、ハリウッド。撮影中に事故で足を怪我したスタントマンのロイは、入院先で腕を骨折した少女アレクサンドリアと仲良くなる。ロイは彼女のためにおとぎ話を聞かせてやる。
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(レビュー) 世界24カ国でロケを敢行したというだけあり、美しい映像の数々が見応えあった。
映画はロイとアレクサンドリアの交友を描く現実パートと、おとぎ話のファンタジーパートに分けられる。このおとぎ話はいわゆるRPGゲームのような冒険談になっていて、奇抜なファッションやファンタジックな現象が登場してきて面白く見れた。普通ここまで自由度が高いと色々な物をぶち込みたくなるものだが、世界観の統一に注力しているところに感心させられる。アレクサンドリアがインド出身という設定なので、全体的にエキゾチックなトーンで統一されている。
尚、最も印象に残ったのは、序盤の砂漠のシーンと象の泳ぎである。この世のものとは思えぬ美しい光景に心奪われた。
また、全体的にCGはごく一部に抑えられており、生の自然風景を写そうと心掛けている。制作サイドのこの狙いは、明らかに昨今の潮流に対する一つの挑戦だろう。こういう姿勢は何とも頼もしい。本作はある種観光映画的な意味でも見所の尽きない作品となっている。
一方のドラマも、現実とおとぎ話を交錯させながら上手くまとめられていると思った。ロイとアレクサンドリア、夫々の成長も律儀に織り込まれ、やや過剰な演出ながらクライマックスではテーマがストレートに発せられている。
欲を言えば、現実パートのドラマにもう少し起伏が欲しいか‥。どうしても映像的な見せ場を追求するあまり、後半は冒険談の方に目が行きがちになってしまう。その間、現実パートのドラマが少々お座なりになってしまう。ロイとアレクサンドリア、両者のバックストーリー、葛藤が浅いため、少し楽観的に見えてしまうのが残念だった。