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トゥモロー・ワールド

映像は見ごたえあるが‥。
トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション [DVD]トゥモロー・ワールド プレミアム・エディション [DVD]
(2007/03/21)
クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア 他

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「トゥモロー・ワールド」(2006英米)星3
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ)
 西暦2027年、テロの脅威が蔓延する荒廃した近未来。世界最年少の少年が殺されたというニュースに多くの人々が落胆した。人類は原因不明の奇病にかかり子孫を残せない身体になっていて衰退の一途を辿っていたのである。ロンドンの政府機関に勤めるセオも未来を絶望視する一人だった。ある日、彼は反政府組織“フィッシュ”に誘拐される。一味のリーダーはかつての恋人ジュリアンだった。彼女からキーという女性を入国させるために通行証を入手するよう脅迫される。こうしてセオはテロ組織の戦いに巻き込まれていく。
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(レビュー)
 荒廃した近未来社会を舞台にしたSFアクション作品。

 色々と突っ込みを入れたくなるストーリーだが、アクションシーンについては見応えのある映画だった。なんと言っても長回しによるアクションシーンが2度登場してくる。今作はこれに尽きると言っても過言ではない。

 一つ目はキーを乗せた車の襲撃シーンである。車中からの1カット撮影で、事の次第を漏れなく捉えたカメラに圧巻である。CGも多少使われているが、それと気付かせないように必要最小限に留められており、この臨場感、緊迫感に目が釘付けになった。
 二つ目はクライマックスの戦闘シーンである。戦場を走るセオの背中越しのドキュメンタリータッチ撮影が延々と続き、これまた生々しい迫力が感じられた。
 キャストとスタッフの入念な下準備がなければ、ここまでの映像は作り出せないだろう。当然撮影の苦労がしのばれるが、この二つについては見事にそれに見合うだけの迫力と興奮をもたらしてくれる。

 ちなみに、こうしたロングテイクを多用することで有名な作家としてはテオ・アンゲロプロスが思い出される。ただ、アンゲロプロスの長回しは人物の心象やストーリーの推移を目的としたものが多く、割とミニマムな撮影態勢で撮られている。それに比べると、当然本作の方がバジェットが大きく、膨大な火薬とモブが画面に浩々と登場してくる。多くの金と時間と労力がかかっているので、そうおいそれとリテイクは許されないだろう。そんな重圧を押しのけて作り出された映像には素直に拍手を送りたい。

 また、この手の長回しのアクションシーンでは、J・トー監督の「ブレイキング・ニュース」(2004香港中国)という作品も思い出される。冒頭7分に及ぶクレーン撮影は銃撃戦に異様な迫力をもたらし、かなり興奮させられた。しかし、今回のクライマックス・シーンはそれをはるかに凌ぐ情報量が画面に詰めこまれている。質的なことを言ってしまうと、見た人の評価があるので良い悪いの判断はそれぞれにあろうが、物量に関して言えば完全にアンゲロプロスの映画も「ブレイキング・ニュース」も圧倒していると思った。

 映像面の魅力でいえば荒廃したロンドンの風景も面白いと思った。昨今はどうしてもCGで簡単に街並みを作ってしまうが、この映画は極力アナログな手法で近未来の世界を作り上げている。そもそも、本作は決して荒唐無稽なSF映画ではない。例えば、テロが蔓延する世界は明らかに9.11以降のアメリカを背景に敷いているし(現にブッシュ元大統領の写真が画面に登場してくる)、不法入国の問題も現代のイギリス社会では極めて深刻な問題として受け止められている。こうした現代的な問題を絡めて作り上げられた地続きな世界観なので、高層ビルが立ち並ぶスタイリッシュな近未来社会よりも、こうしたすすけた雰囲気が残る荒廃した近未来社会はしっくりとくる。
 ただし、所々に出てくるアーティスティックなオブジェは余り感心しない。ユーモアとしてのセンスは中々のものだが、全体の世界観から多少浮いてるように映った。

 一方、ドラマの方は残念ながら不満が残る出来だった。
 第一に、キーの内面に迫りきれていない。彼女はその名の通りドラマの鍵を握るキャラである。彼女のミステリアスさがドラマの求心力として途中まで支えていた事は確かだ。しかし、その素性が明かされて以降の戦いが今一つヒートアップしない。一番の原因は、彼女のキャラクターとしての魅力が描きこまれていないからである。セオがキーを守る戦いはやがて世界を守るという大きな使命に繋がっていくのだが、どこか事務的なものにさえ映ってしまった。この際、世界を守るという設定は二の次であっていいように思う。もっとパーソナルな感情で彼女を守りたい‥と思えるような、キーの人物的魅力を付加すべきだったのではないだろうか。

 また、サブキャラがストーリーを語る上での〝捨て駒”のような扱いに終始するのもいただけなかった。ミリアム、ジャスパール夫妻の退場については、もっとドラマにインパクトを残しても良かったように思う。本来、彼らはセオの戦いを益々ハードなものにしていく尊い犠牲者であらねばならないはずである。それが単なる〝捨て駒”扱いでは余りにも勿体ない。セオの葛藤に強くインパクトを与えることで、もっとストーリーに重みと厚みを加えて欲しかった。
[ 2011/08/26 01:49 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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