4人のガンマンの冒険活劇。内容を詰め込みすぎた感はあるがラストの収まりは中々。
「シルバラード」(1985米)
ジャンルアクション
(あらすじ) ペイドンは故郷シルバラードに向けて旅をしていた。その途中で盗賊に襲われ身ぐるみ剥がされる。そこをエメットというガンマンに助けられた。二人は一緒に旅し、ある村で例の盗賊を見つける。復讐を果たしたペイドンは、そこでかつての相棒コップに再会する。彼から新しい商売の話を持ちかけられるが、過去に煮え湯を飲まされた経験からペイドンはそれを断り、エメットと共にシルバラードに向けて旅を再開した。その後、二人はエメットの弟ジェイクと落ち合うためにある町に立ち寄る。しかし、彼は殺人罪で処刑されそうになっていた。エメットとペイドンは彼を救い出そうとするが‥。
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(レビュー) 故郷シルバラードを目指して旅をする4人のガンマンの友情と戦いを描いた西部劇。
夫々のキャラは個性的に確立されていて中々面白く見ることができた。家族愛に熱いエメット、女好きで二挺拳銃の使い手ジェイク、冷静なニヒリスト・ペイドン、差別に苦しむ黒人ガンマン・マル。4人の運命は、やがて登場する敵の存在によって大きなクライマックスを迎えることになる。オーソドックスな作りだが、安心して楽しめる西部劇になっている。
前半は彼ら4人の旅の風景が語られるが、後半からはシルバラードに到着した夫々の物語になっていく。一種の群像劇のようなテイストで展開され、家族の愛憎、友情と裏切りがドラマチックに語られている。
ただ、さすがにドラマがここまで分岐してしまうと、内容の詰め込みすぎによる散漫化は避けられない。クライマックスに行くまでの紆余曲折が本来の痛快さを失わせてしまっており、ドラマの推進力がどうしても弱まってしまう。
例えば、エメットと開拓民の女とのロマンスは、途中の経過が省略されてしまっているので唐突に見えてしまった。また、マルの妹にまつわるエピソードは、ドラマを語る上で絶対に無くてはならないものではない。むしろ、描くなら彼の父親の死の方を描くべきだろう。こちらの方がドラマ上、重要な意味を持っている。ジェイクのロマンスについてもそれほど必要というわけではない。本作は全般的に女性キャラクターが弱く、そこに絡んで描かれるエピソードについてはことごとく中途半端な感じを受けた。
また、悪役の造形についても丁寧な描写が欲しい。確かに敵役であるボスが腕効きのガンマンである事は途中のシーンで証明されていたが、彼が銃を抜いたのはこの1回きりである。クライマックスの盛り上げを考えた場合、ラスボスの強大さを表すにはこれだけでは弱い。例えば、定番なところで腕が立つ用心棒がいるとか、卑怯な手段で人質を取るとか、様々なアイディを加えることで、このクライマックスはもっと盛り上げることができたと思う。早撃ちの用心棒を登場させて、二挺拳銃の使い手ジェイクと対決させる‥なんてのも面白いだろう。本作にはそういった盛り上げるためのアイディアが足りない気がした。
総評としては、4人の個性を過不足なく引き立てた前半は◎。後半はトーンダウンしてしまい×。勧善懲悪に締め括られているのでとりあえずスッキリするが、色々と深みを求めてしまうと物足りない作品であった。