いよいよ完結‥なのだが。
「東のエデン 劇場版ⅡParadaise Lost」{2009日)
ジャンルアニメ・ジャンルサスペンス・ジャンルSF・ジャンルロマンス
(あらすじ) ニューヨークで再会を果たした咲と滝沢が日本に戻ってきた。セレソン・ゲームの真っ只中、滝沢の経歴は首相の私生児に書き換えられていた。それによって、彼はマスコミから批判を受けるようになる。一方、その頃セレソン№1はゲームに決着をつけるべく強硬な手段に出ていた。
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(レビュー) TVアニメシリーズ「東のエデン」の劇場版完結編の後編。
これまでの謎が次々と解明されながら、滝沢と咲の関係、セレソン・ゲームの結末が描かれている。
これまでの悶々としていたものが一気に解消されるが、話の方はやや強引に展開されている。
たとえば、滝沢の記憶の回復、彼の母親の捜索過程、細かなところではトラックやサークル室の地下のクダリ等々、挙げれば切りがない。前作にも強引な箇所はあったが、ここまで大っぴらにやられてしまうとさすがにドラマには入り込みづらくなってしまう。そもそも、姿を見せないまま終わってしまうセレソンもいるわけで(ドラマCDには登場するようだが)、重要な設定をすべて消化しきれていない時点で、本作は不完全な完結編と言わざるを得ないだろう。
ただ、本作の魅力は前作同様、現代の日本が抱える問題に果敢に切り込んだ制作サイドの創作姿勢にあることは間違いない。これについては、見る側としても色々と考えさせれるものがあった
ついにゲームの首謀者であるミスター・アウトサイドが登場してくるのだが、彼が何故このゲームを始めたのか?その理由が明らかにされる。そこには日本が歩んできた近代史と関連付けながら憂国の情が明確に吐露されている。多少爺臭く聞こえるし、結果的に彼の道楽でありオナニーに過ぎないではないかという腹立たしさも湧き起こるが、危機感の薄い現代の日本人がどうやって希望を持てるようになるか?という問いかけは見ているこちら側によく伝わってきた。
所詮は娯楽アニメなのだからそこまで考える必要はないと言うかもしれないが、アウトサイドのこの問いかけは常に作品の重要なエッセンスとして底流していた。実際、彼のその問いに対して、あるセレソンはミサイルを使った自己自演による被災を演出し、あるセレソンは政治改革に挑んだわけである。莫大な私財を投げ打った大バクチという言い方もできるわけであるが、いずれにせよ彼はセレソンに世界の変革を望んだのだ。そして、アウトサイドのこの大胆なゲームはこの作品を見た人夫々に対する問いかけでもあろう。平坦な日常に埋没しながら思考停止に陥っていないか?成長変革の努力を怠っていないか?これは国にとっても、また個人にとっても重要なことであると気づかせてくれる。
それにしても、この「東のエデン」というタイトルも皮肉的である。果たして、エデン(理想郷)はどこに行けば見つかるのだろうか?
それに、東のエデンのサークルの面々は結局、滝沢に巻き込まれただけで損得を考えるとかなり浮かばれない。テクノロジーの最先端が一夜にして崩壊してしまうのだから、これまた理想と現実のギャップを突き付けられ皮肉的だ。
尚、今回最も印象に残ったキャラはパンツである。彼こそ正にニート代表のようなキャラで、その活躍場面は「機動警察パトレイバーthe Movie」(1989日)のHOSシステム騒動に似た興奮が感じられた。
ドラマ的には滝沢の母を巡る話が面白く見れた。最終的に彼の出生を巡っては如何様にも取れるようになっており、このドラマが基本的に咲目線で語られる恋愛ドラマ構造であることを考えると、ミステリアスな王子様のままでいさせたこの処理の仕方は洒脱が効いていると言える。
尚、エンドクレジットにひし美ゆり子の名前がクレジットされていた。どうやら彼女が経営するアジアンタイペイのお店が劇中に登場するのでその関係らしい。
たしかにもう1クールあれば…というのは感じずにいられませんでした。
ちなみにDVDだと特典でネタバラシがあるかもしれませんが、ミスターアウトサイドは本編の11話のほとんどに登場していまして正体は明かされていました(電車の中吊りなど含む)。画面で一応オチは示唆していたから強引でも許してねーとは監督の弁w。
私も見ていて何となく臭いなと思ったのですが、終わってみれば「やはりあそこに‥」と思いました。
綿密に作ればそれだけボリュームが膨らみますし、やはりこの作品を描くには時間的に足りないという気がしました。実に惜しまれますね。
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