誤った資本主義を痛烈に批判したドキュメンタリー。今の騒動を予見しているかのようである。
「キャピタリズム マネーは踊る」(2009米)
ジャンルドキュメンタリー・ジャンル社会派
(あらすじ) アメリカの資本主義経済を痛烈に皮肉ったM・ムーア監督のドキュメンタリー映画。
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(レビュー) いかにもM・ムーアらしい反骨精神に溢れたエンタメ・ドキュメンタリーである。
富裕層と貧困層を対比しながら、なぜ中産階級が無くなってしまったのか?という問いかけから映画は始まる。そして、映画はこの格差を作った原因を過去の政策と関連付けながら分かりやすく見せている。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」(2002米)や「華氏911」(2004米)、
「シッコ」(2007米)を見る限り彼は反共和党だと思うのだが、ここではそういった政治的姿勢もさることながら、過去の政策の失敗を理路整然と激しく批判している。たとえば、レーガン、 ブッシュ政権と巨大企業の蜜月、それによって形成されていった投機家に有利な資本主義経済。その仕組みをユーモラスな映像コラージュとお馴染みのマシンガン・トークで糾弾している。いかにもムーアらしい語り口だと思った。
ただ、この監督の作品はいつもそうなのだが自論に終始する余り、反対意見を恣意的に排除してしまう癖がある。特に、前作「シッコ」ではその姿勢が顕著でやや辟易してしまった。映画という分野で表現者たらんとするならば、極力説得力が備わった語りに徹するべきではないだろうか。本作が果たして全てを公平に捉えているか‥というと少々疑問を禁じ得ない。
たとえば、サブプライムローン問題で破綻寸前になったメガバンクへの公的資金の注入は、様々な事情を考えるとやむを得ないことであろう。ムーアはこれを強く非難してる。しかし、言わばこの問題は前政権である民主党政権下で制定された住宅促進再投資法の類が発端となっているのだ。そこを見ずして、その尻拭いをさせられる共和党のやり方を一方的に非難するのは流石にどうだろうか?いくら反共和党とはいえ公平さに欠く。
このようにムーアは自分の意見を前面に出しすぎなところがあるため、作品を受け止める方としても彼の意見を鵜呑みにせず問題認識程度で見るのが丁度いいのではないかと思う。
映画自体は軽快に展開されていくので飽きなく見れた。ただ、終盤はムーア自身の語りが同じトーンで続くということもあり少々退屈してしまう。前半で見られたようなインタビューもほとんどなくなり、作品トーンのバイブレーションにもう一つ工夫が欲しい。
ちなみに、航空業界の低賃金、更生施設の民営化、従業員に保険をかける企業実態等、色々と驚きの事実が出てくる。CEOを含め全従業員の給料が同じという会社があることにも驚かされた。日本にいてはこうした具体的な事実は知りえないであろう。そういう意味では、この映画を見た価値はあったように思う。
尚、名物であるアポなし取材は今回は全て空振りに終わっている。流石にこれだけ有名人なってしまうと警備を突破するのがだんだんと難しくなってきているのかもしれない。
おはようございます、ありのさん。
この映画の影響かどうかわかりませんが、ニューヨークのマンハッタンとウォール街とワシントンD.C.さらに全米各地で若者たちが政府に対して雇用を増やせ!富裕層優遇税制に反対するデモが広がってるそうですが、少なからずもこの作品を見た人達がいるかもしれないと思いますがどうでしょうか?また、映画がらみの話題で「トイ・ストーリー3」、「カールじいさんの空飛ぶ家」、「カーズ2」などの世界ヒットにつながる人気作をこの世に生み出し「3DフルCGアニメ」を製作可能にした、「ピクサーアニメ-ションスタジオ創設者」そして「アップルコンピュータCEO(最高経営責任者)」であるスティーブ・ジョブズ氏(1955-2011)が亡くなられました謹んで彼の偉大なる功績をたたえそしてご冥福をお祈りします。
こんばんは、にょろ~ん。さん。
社会に一石を投じるM・ムーアの作品はいつも話題に上りますから、少なからず影響をもたらしているのではないかと想像できます。
S・ジョブズ氏の死は色々な意味で惜しまれます。ピクサーに深い繋がりがあったという意味でも、今回の訃報は残念です。ご冥福をお祈りします。
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