斬新な撮影方法に驚かされる。
「教室の子供たち」(1954日)
ジャンルドキュメンタリー
(あらすじ) 東京下町の小学校の生徒達を捉えたドキュメンタリー映画。
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(レビュー) 「初恋・地獄篇」(1968日)の異才・羽仁進監督が初演出した作品。
子供達の姿が活き活きと撮られていて大変魅力的な作品である。これほどまでに自然な表情をどうやって直近でカメラに収める事が出来たのか?気になって後で調べてみたら、何と隠し撮りではなくて、子供たちがカメラを意識しなくなるまで慣れさせてから撮影に入ったという。普通小2の子供だったら目の前のカメラを意識しておどけてみたりするものだが、本作にはそういったシーンが全然出てこない。彼らは完全にカメラを意識していないように見える。俄かには信じがたいことであるが、これが本当の話だとすると、撮影の段階で相当時間を費やしたのではないだろうか。羽仁監督の徹底したリアリズム志向には感服させられてしまう。
映画は、担任女性教師が自分が受け持つクラスの生徒をつぶさに監察していくことで展開されていく。活発な子、内気な子、お調子者といった具合に夫々の個性を尊重しながら、彼女は的確に教鞭をとっている。その姿に何となく文科省推薦的な教師の理想像を見てしまうが、同時に朴訥とした学園風景に対する郷愁も感じられた。
現代の教育現場は当時より更に複雑で難しい問題が入り組んでおり、教える方としても中々ここまで理想的な指導をすることは出来なくなってきているだろう。そういう意味では時代の違いも見えてきて面白い。