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ウホッホ探検隊

家族愛というテーマは分かるが印象度の弱さが欠点か。
ウホッホ探検隊 [DVD]ウホッホ探検隊 [DVD]
(2002/03/22)
十朱幸代、田中邦衛 他

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「ウホッホ探検隊」(1986日)hoshi2.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 榎本家に単身赴任中の父和也が休暇で帰ってきた。妻登紀子と二人の子供達と楽しい一時を過ごしたその夜、和也は衝撃の告白をする。不倫しているので離婚してほしい、相手の女と会って話し合いをしてほしい言うのである。記者の仕事をしながら子供達の面倒を見てきた自分の立場は‥。怒りと悲しみに震える登紀子。仕事のストレスも重なり、彼女は徐々に自分の人生に疑問を持ち始めるようになる。
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(レビュー)
 中年夫婦の離婚の危機をコミカルに描いた作品。

 旦那の不倫を知った妻の葛藤は取り立てて新味は無いし、子役の芝居がかった演技も所々で鼻につき、どうにも興味が削がれる。全体的にかなり緩いテイストが貫かれていことも関心を削ぐ原因だ。観客が入り込みやすくしようとしているのは分かるが、果たしてこういう作り方でどこまで問題の核心に触れることが出来るのか?甚だ疑問である。

 ドラマの軸を成すのは登紀子の迷いになる。この迷いは主に家庭と仕事夫々にわたって描かれており、更に家庭については夫婦と親子の関係に振り分ける事が出来る。これらを上手く絡めていければ彼女の葛藤は相乗効果的に盛り上げることが出来ただろうが、いかんせん先述の通りかなり緩く作られているため、いたずらにストーリーを散漫にしてしまっている。全体を完全にコメディ寄りに振るのか?あるいはシリアスに振るのか?そこが徹底していないように思う。その結果、何だかぼんやりとした印象しか残らない作品になってしまった。

 例えば、シリアス色を強めるなら、登紀子の葛藤を乱すべくキーマンが二人登場してくるので、彼らとの関係に重点を置いて描けばよかろう。一人は彼女が仕事で知り合う人気野球選手。もう一人は尊大で嫌味なロック歌手。登紀子は彼らと親密になりかける。しかし、この映画はその辺りに必要以上に踏み込まない。実に表層的にしか描かないのだ。これでは、ストーリーに推進力は生まれない。不倫の危機に晒される夫婦の問題について真面目に取り組もうという気も感じられない。

 監督は根岸吉太郎。堅実な演出を信条とする監督で、ストーリーの緩慢さとは別に映画の作りとしては安心し見ることが出来る。ただ、1箇所だけ奇をてらった演出があり、そこについては非常に違和感をおぼえた。登紀子の息子の主観で描くシーンである。ここだけは妙に浮いている。

 脚本は森田芳光。これは原作にあるのか?彼のオリジナルなのか分からないが、会話のキャッチボールの上手さは所々に見つかった。夫婦間、親子間の日常会話は、それだけ聞いていると何気ないもので、うっかりするとスルーしてしまいそうになるが、中々奥深いセリフが見つかる。
 例えば、不倫を切り出す和也の「当たり前に話し合えないからじゃないか」というセリフから、この夫婦がいかに長年目を見てちゃんと話しあっていないかがよく分かる。生々しいセリフに聞こえた。

 また、両親の離婚問題を達観した眼差しで捉えながらクールな言動に徹する長男のキャラクターも面白い。母に「我慢せず好きなようにすればいい」と励ます所、父の愛人に堂々と会いに行く所などは、大人顔負けの言動である。父が長年不在である生活環境が彼を早熟な少年にしたのかもしれない。

 いずれにせよ、ストーリーの語り口には不満を感じたが、所々のセリフのチョイスについては卓越したセンスが感じられ、改めて森田芳光のライターとしての才気が伺える作品になっている。
[ 2011/10/23 01:21 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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