どうしたS・ライミ!ギャグは良かったが恐怖はスベリまくりだぞ!
「スペル」(2009米)
ジャンルホラー・ジャンルコメディ
(あらすじ) 銀行に勤めるクリスティンは出世のために、ローンの延長を頼み来た老婆を冷たく追い返した。その後老婆は死に、クリスティンの周辺に奇妙な現象が起こるようになる。偶然入った占いの店で、彼女は驚愕の事実を知らされる。
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(レビュー) 老婆に呪いをかけられた女性の恐怖を描いたホラー映画。
監督・脚本は「スパイダーマン」シリーズで一躍ブロックバスター監督の仲間入りを果たしたS・ライミ。元々がホラー畑出身なので、今回は元のジャンルに戻ってきたということになる。「スパイダーマン」に携わっていた間に出来なかった鬱憤を一気に晴らしたい‥と言ったところだが正直、出来は今一つ‥。
デビュー作である「死霊のはらわた」(1983米)の勢いに比べると、さすがに演出は大人しくなってしまっている。この人独特の下品さも抑え目で、残酷描写もG指定(年齢関係なく誰でも見れる)なので大人しい。まぁ、広い層をターゲットにするならこれもやむなしという気もするが、そこらの監督が撮るならいざ知らずあのS・ライミが久々にホラーを撮ったわけであるから、もう少しパンチが欲しい。
それでも、コメディタッチについては幾つか面白いものがあった。目玉や入れ歯が飛び出す演出は、間抜けな効果音もあいまって爆笑してしまった。鼻血ブーッのシーンも最高である!老婆や恋人、占い師の造形もコメディらしく分かりやすくて良いと思った。
ドラマはこの手のジャンル映画なので余り期待は持てない。非常にシンプルな構成のドラマとなっている。ただ、最後のどんでん返しは「技あり!」に思えた。
欲を言えば、若干中だるみが生じてしまうのでそのあたりを少し工夫してほしかったか‥。前半でクリスティンの悪夢が度々登場してくるが、ここを削ぎ落とせば早々に本題に入れたと思う。後半の降霊会のシーンを前倒しにすることで食いつきの良い作品にすることは出来たように思う。
ヒロインについては×‥というよりもはや演技力が問われるレベルだと思う。ホラーにおける要、絶叫演技は中々良いのだが、忍び寄る恐怖に表情を引きつらせるような"中テンション″の演技が全然出来ていない。来るぞ‥来るぞ‥と思わせてハラハラさせる。これこそがホラー映画の醍醐味であろう。しかし、この女優は、来るぞ‥来るぞ‥という演技がまるでなっていない。これでは見ているこちらにも全然怖さが伝わってこずミスキャストと言うほかないだろう。