fc2ブログ










プラダを着た悪魔

女性のキャリアについてのコメディ映画。笑いだけでなく、ちょっぴり考えさせられる良品。
プラダを着た悪魔 (特別編) [DVD]プラダを着た悪魔 (特別編) [DVD]
(2010/06/25)
アン・ハサウェイ、メリル・ストリープ 他

商品詳細を見る

「プラダを着た悪魔」(2006米)星3
ジャンルコメディ・ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 ジャーナリスト志望のアンドレアは、世界的に有名なファッション誌「RUNWAY」を発行する出版社に就職する。彼女はそこで業界にコネを作り自分のキャリアを開拓していこうと考えたのである。ところが、女編集長ミランダはとんでもない暴君で、アシスタントを務めることになったアンドレアは一時も気の休まる暇がなかった。同棲中の恋人とも擦れ違いの生活が続き、ついに彼女は辞表を叩きつけようとする。
楽天レンタルで「プラダを着た悪魔」を借りよう
goo映画
映画生活

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ


(レビュー)
 ファッション業界に飛び込んだ女性の悲喜こもごもを軽妙に綴った作品。

 ファッション業界を舞台にしたドラマというとちょっと敷居が高く感じられるが、本作は見る側が入り込みやすいように実に上手く作られている。主人公アンドレアは洒落っ気の無い地味な田舎娘として登場してくる。こんな娘にファッション業界のカリスマ、ミランダのアシスタントなど勤まるのだろうか‥という興味で物語は流麗に展開されている。日常からかけ離れた世界をこうした形で切り込んだ所に上手さを感じた。おそらく誰もがアンドレアの目線でドラマの中に入り込めるのではないだろうか。

 基本的な物語は、世間知らずな娘が社会という実践の場で様々な苦難を経験して一人前に成長していく‥という、よくあるドラマである。アンドレアは失敗を重ねながらそれでも凹まずに仕事をやり続けていく。やがて、徐々に仕事にも慣れ、ブランド品や流行にも敏感になり洗練された都会の女性へと変身していく。
 むろん外見が洗練されただけでは単なる見栄っ張りに過ぎず、これだけではドラマにならない。映画はアンドレアの葛藤を掘り下げるべく、その成長の裏側に〝過去との絶縁”というシビアな問題を放り込んでくる。彼女は業界に礎を築いてキャリアをステップアップさせていくが、それと引き換えに今まで応援してくれた恋人や友人との関係が疎遠になってしまうのだ。キャリアか人間関係か?その狭間でアンドレアの葛藤は揺れ動く。
 人は新しい社会に入ることで元の社会との繋がりを中々維持しにくくなってくるものである。得る物があれば失う物もある。本作はこの問題をアンドレアの葛藤に絡ませることでドラマチックに見せている。中々骨のあるドラマに思えた。

 演出はメリハリを利かせた軽快なものが多く、躍動感に溢れていて終始、肩の力を抜いて面白く見ることができた。例えば、アンドレアが次々と新しい服を着ながらマンハッタンを闊歩するシーンなどは見応えがあった。

 シナリオも無駄が少なく大変見やすい。真面目に捉えてしまうと〝ありえねー”となってしまうのだが、気楽に見るコメディならこのくらいの過剰さはあっても良かろう。例えば、出版前の「ハリポタ」が欲しいというミランダの無理難題に奔走するシーンは、どう考えてもご都合主義な展開なのだが、この難題をアンドレアがクリアすることでミランダの信頼を得るという痛快さ、カタルシスが見事に演出されていたと思う。これが例えば明日の朝刊が欲しいという試練では盛り上がらないだろうし、ここまで面白くはならなかっただろう。

 ただ、サブキャラについては少し疑問に残るリアクションがあった。アンドレアと政治記者の密会を目撃した友人リリーの非難は蛇足に写る。
 また、クライマックスに登場する〝ある仕掛け”はもう少し計算を要したかった気がする。アンドレアの不意をついた異常事態であることは十分理解できるし、サプライズ的な意味合いがあることも分かるのだが、仕掛けの張本人となるキャラの存在感が弱すぎる。上手に伏線を張ればもっと盛り上がったと思う。

 キャストではカリスマ編集長ミランダを演じたM・ストリープの存在感が素晴らしかった。彼女は言わばアンドレアにとっての悪役であり、これを実にふてぶてしく演じている。しかも、単に意地悪な鬼上司というだけでなく、後半では孤独な中年女性としての素の顔も覗かせ人物像に奥行きを持たせている。このあたりは流石に名女優である。見事な演技だった。
[ 2011/12/07 01:41 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/865-9a16c7b7