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ドレミファ娘の血は騒ぐ

蔵出し的なレア度はあるが、黒沢作品の中では下の方に入る出来。
ドレミファ娘の血は騒ぐ [DVD]ドレミファ娘の血は騒ぐ [DVD]
(2001/08/24)
洞口依子、伊丹十三 他

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「ドレミファ娘の血が騒ぐ」(1985日)hoshi2.gif
ジャンルコメディ・ジャンルロマンス・ジャンルエロティック
(あらすじ)
 憧れの先輩を探しに秋子は東京へやって来た。早速彼が通う大学へ行き、彼女はそこで心理学の平山教授に出会う。彼は人間の“恥ずかしさ”の心理を研究する一風変わった中年男だった。平山は秋子の一途な恋心に着目し、彼女の肉体にこそ研究の答えがあるのではないかと思うようになる。そんなある日、秋子は構内で恋人に再会する。しかし、彼はもうかつての彼とは違っていた。
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(レビュー)
 初恋に焦がれる田舎娘が変態教授の毒牙にかかっていくエロティック・コメディ。

 監督は黒沢清。本作は元々ピンク映画として製作された作品だそうである。しかし、何故かは分からないがお蔵入りになってしまい、監督自身が再編集して一般映画として公開したそうである。ピンク映画という性格上セックスシーンは何度か登場してくるが、決してエロいというほどではない。この程度なら一般映画として流しても普通に見れるだろう。

 それにしても、本作はかなり実験的な作品である。ヌーヴェルヴァーグの影響をモロに受けていたであろう、若かりし黒沢タッチが各所に見られる。冒頭の移動ショット、ジャンプ・ カット。更には、ドレミファという“絶対音感”を持ち出して語る音楽へ変質的な執着。これらは明らかにゴダール映画の模倣である。確かに実験的で野心的な試みに思えた。
 ただ、ゴダールがゴダールたる所以は、彼自身の映画哲学に揺るぎがないからこそであり、昨日今日映画を覚えたてた新人監督にそうやすやすと超えられるものではない。演技、演出、カメラ、全てにおいてオリジナルには到底及ばない拙い出来栄えで、奇をてらって墓穴を掘った‥そんな風にしか見えなかった。

 ただ、後の黒沢作品に見られる深い“闇”に対する執着の洗礼。それが見られたことは良かった。平山邸のゴシックな風情も中々に雰囲気があって良い。

 尚、今作には所々にミュージカルシーンが唐突に登場してくる。残念ながらこちらは陳腐でいただけなかった。映像的なカタルシスもなければ、音楽的な魅力もまったく感じられない。このチープさが狙いと言われればそれまでだが、だとしてもこれだけお粗末なものを見せられると笑う気にさえなれない。

 キャストでは、平山を演じた伊丹十三は堅実な演技を見せている。しかし、彼以外は素人に毛の生えたレベルである。プロの仕事とは到底思えなかった。ただ、秋子を演じた洞口依子のダークさを忍ばせたロリータ・フェイスはビジュアル的に中々のものがある。処女作にしてこの大胆な脱ぎっぷりも大したものである。
[ 2011/12/13 00:58 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

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