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廃市

大林宣彦初期時代のノスタルジー映画。ロケーションが素晴らしい。
廃市 デラックス版 [DVD]廃市 デラックス版 [DVD]
(2001/12/21)
小林聡美、根岸季衣 他

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「廃市」(1984日)星3
ジャンルロマンス
(あらすじ)
 大学生の江口は卒論を仕上げようと美しい運河の町を訪れた。宿泊先の旅館には気立ての良い娘・安子がおり、彼はすぐにこの町も彼女のことも好きになった。その夜、どこからともなく女の泣き声が聞こえてきた。安子から姉夫婦の存在を聞いていた彼は、もしや泣き声の主は安子の姉・郁代のものではないかと疑った。気になった江口は郁子について尋ねたが、彼女の姿を見ることは出来なかった。そんなある日、旅館にふらりと郁代の夫・直之が現れる。安子と密会する所を偶然目撃した江口は、まだ見ぬ郁子に益々興味を抱いていく。
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(レビュー)
 大学生が体験する一夏の恋をノスタルジックに綴った小品。

 今はもう無くなってしまった美しい運河の町を舞台に、大学生・江口と下宿先の姉妹安子と郁代、郁代の夫・直之の複雑な恋愛模様がミステリアスに回想されている。姉妹の過去には因縁めいたドラマがあり、描き方次第ではドロドロとした愛憎劇になろうが、そこをこの映画は第三者である江口の目線を通して過去の郷愁として美しく包み込んでいる。哀愁溢れる後味も含め、青春懐古の映画としては実に正攻法に作られていると思った。

 製作・監督・編集・作曲は大林宣彦。主人公江口の回想モノローグも彼が担当している。そこから何となく「私的」な作品のような雰囲気が漂うが、実は原作は別にあるそうだ。監督はこの主人公に自己投影するくらい、この物語に惚れ込んだのかもしれない。現に監督は今作の企画にもクレジットされている。

 さて、本作の見どころは何と言ってもロケーション、これに尽きると思う。大林監督と言えば、自身の出自を舞台にした尾道三部作が思い出されるが、本作にもそれと同様のノスタルジックな美観が登場してくる。
 本作の舞台は日本のヴェニスと称される架空の町とされている。川を行き交う旅客船がどこかイタリアのヴェニスを思わせ、中々魅力的である。また、中盤で大々的にフィーチャーされる夏祭りの賑わいも和気あいあいとしたもので実に楽しそうだ。本作のロケは福岡県柳川市で行われたことが映画冒頭で明かされている。一部で若干風情を壊すような人工物が見られたのは勿体なかったが、こんな町が日本にもあったのか‥と思わせるくらい、とても魅力的であった。
 また、川の音や鈴虫の声等、繊細な音も見事に自然の風景に融合し作品世界にドップリと浸らせてくれる。

 難はキャストだろうか。江口を演じた新人俳優は良く言えばすれていない純朴さが魅力と言えるが、起伏に欠ける演技が味気ない。安子を演じた小林聡美もまだ初々しい頃とはいえ、しばしば見せるアイドル演技のような妙なノリが若干無理に映った。前作「転校生」(1982日)での女子中学生とのギャップを図ろうとしているのは分かるが、後に確立される彼女の役者としてのキャラを見ればわかる通り、アイドル的な演技は無理と言えよう。果たして今回の役は彼女に合っていたかどうか‥。
 一方、周辺に集う大人達はそれぞれに好演している。特に、直之を演じた峰岸徹の楽屋裏での長芝居には、枯れた味わいが感じられてしみじみとさせられた。

 尚、タイトルは「ALWAYS 三丁目の夕日」(2005日)等で有名な白組が製作している。白組はこの以前に、やはり大林監督作「転校生」のタイトルも担当している。今や邦画界に無くてはならぬVFX集団となった白組の過去の仕事ぶりが確認できる。
[ 2011/12/15 00:57 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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