幻の発掘映画。「シックス・センス」との類似点を見ることができる。
「ジャンボ・墜落/ザ・サバイバー」(1981米)
ジャンルサスペンス・ジャンルホラー
(あらすじ) 航空機の墜落事故でただ一人生き残った機長デヴィットは、大惨事を引き起こした責任を感じて罪の意識に苛まれる。しかし、事故の原因はまったく分からなかった。そんなある日、デヴィッドはホッブスという不思議な女性と出会う。交霊師である彼女の協力を得ながら、彼は事故の原因を独自に探っていく。一方、事故現場を撮影していたカメラマンが奇妙な死を遂げ‥。
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(レビュー) 航空機事故で生き残った機長が、事故の原因を突き止めていく中で意外な真実を知っていく驚愕のスリラー作品。
いかにもビデオスルーなタイトルだが、実は本作は一部でカルト視されている。というのも、M・ナイト・シャマラン監督の傑作「シック ス・センス」(1999米)が公開された後に、本作と類似する部分が幾つか見つかったからである。それによって幻の劇場未公開作だった本作は注目を浴びることになった。
言われてみれば、確かに色々と重なる部分がある。本作にはキーパーソンとして交霊師の女ホッブスが登場して物語がオカルトチックな方向になびいていくが、これが「シックス・センス」とよく似ている。怖さを前面に出すわけではなく、事故死を遂げた霊の悲しさ、憤りが彼女の存在を通して描かれている。霊を“怖い”存在としてでなく、“悲しい”存在として描いたところに「シックスセンス」と同じ叙情的なテイストが宿る。
プロット自体は上手く考えられていて、最後のどんでん返しまでよく計算されていると思った。臭い話運びから容易に次の展開が想像できるのだが、ドラマ的なほつれが無い分、安心して見ることが出来る。敢えて難癖つけるとすれば、中盤の女性カメラマンのクダリは不要に思った。その前の男性カメラマンの繰り返しになってしまうので省ける部分である。
演出は音響の使い方にセンスの良さが感じられた。死人たちの阿鼻叫喚の幻聴、彼らの嘆きを表すかのような風のなびく音。これらの音響演出には光るものがあった。
また、序盤のジャンボ機墜落シーンもかなり見応えがあった。現在のようにCGに頼れなかった時代にここまでの迫力を出せたのだから、そこについてはスタッフの頑張りが認められる。
撮影監督J・シールの働きも◎。彼は後にオスカー常連のカメラマンになっていくが、その片鱗は本作からも伺える。例えば、夕闇に浮かび上がるジャンボ機の残骸はどこか不穏で幻想的なトーンを漂わせ、作品のコンセプトをしっかりと映像として焼き付けることに成功している。また、少女たちの遊戯で始まるオープ ニングも陶酔的な美しさを醸し、彼の映像センスが所々で輝きを見せている。