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狂った一頁

日本映画黎明期を支えた衣笠貞之助監督のアヴァンギャルド作品。カルト化しているが日本よりも海外での評価が高い。
「狂った一頁」(1926日)star4.gif
ジャンルサスペンス・ジャンル古典
(あらすじ)
 ある精神病院。監視人をしている男は、入院している妻が他の患者達に交じって踊り狂っている姿を見て気の毒に思った。そこに娘が会いにやって来る。3人は患者の騒乱に乗じて脱出を試みるが‥。
映画生活

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(レビュー)
 大正から昭和初期にかけて日本映画界を支えた重鎮・衣笠貞之助監督が撮ったアヴァンギャルド映画。

 内容が色々な意味でぶっ飛んでいて、一体当時の人々にどんな風に受け止められたのか興味がある。アヴァンギャルド映画の代表作とも言える「アンダルシアの犬」(1928仏)や「貝殻と僧侶」(1928仏)よりも2年早く作られた本作は、おそらくかなり斬新な作品として受け止められたのではないだろうか。精神病院の内実というアンタッチャブルな内容もかなり野心的で刺激的である。

 また、映像トーンに一部、ドイツ表現主義の影響が見られるのも興味深い。モノクロの不気味なトーンは物語の進行に関係なく随所に飛び出し、見る側を独特の世界観に引き込む。「カリガリ博士」(1919独)に代表されるドイツ表現主義映画は「カリガリズム」などという言葉も生み出し、ブニュエルやダリのフランス・アヴァンギャルド映画よりも早く世に出た。その直後、日本では前衛芸術が活発化し、おそらく衣笠貞之助も「カリガリ博士」や国内の前衛ムーブメントに影響を受けたのではないかと想像できる。現に、ドイツ表現主義映画が体現して見せた第一次世界大戦の狂気と本作の精神病患者の狂気には共通性も感じられる。見る者を不安に陥れるような、そんな退廃的で悪魔的なトーンは、戦争と関東大震災の惨事を関連付けて見ることも出来よう。

 一方、ストーリーは非常にシンプルであるが、精神病棟という特異なシチュエーションのため、一体どれだけの人が入り込めるかは分からない。第一に字幕がないサイレント映画なので、人物の関係把握すら難儀する始末で、途中で挿入されるダンスや祭りのシーンが一体何を意味しているのかも分かりづらい。脚本に文豪・川端康成等、新感覚派が参加しているが、彼らの狙いは一体何だったのか?それを読解するのは難しい‥。

 尚、特撮の神様・円谷英二が撮影補助として初めてクレジットされている。この頃はまだ本名の円谷英一名義である。彼のカメラが本作の独特なタッチに少なからず影響を与えていることは間違いないだろう。

 残念ながら、内容的にまずいからなのか本作は未だにソフト化されていない。
[ 2012/01/05 01:58 ] ジャンルサスペンス | TB(0) | CM(0)

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