魂揺さぶる音楽ドキュメンタリー。
「ウォー・ダンス/響け僕らの鼓動」(2007米)
ジャンルドキュメンタリー・ジャンル音楽
(あらすじ) ウガンダ北部の難民キャンプで暮らす子供たちが、全国音楽大会に出場するまでを追ったドキュメンタリー映画。
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(レビュー) ウガンダと言えばアミン大統領の独裁政治で有名なアフリカの国である。最近ではF・ウィテカーがアミン大統領を演じた「ラスト・キング・オブ・スコットランド」(2006米)という作品が評判を呼んだ。古くは「食人大統領アミン」(1981ケニア英)というキワモノ作品もあった。これらの作品のせいで、どうしてもウガンダと言うと貧困、暴虐の国といったイメージがある。
実際、ここに登場するウガンダ北部の農村地帯では今でも政府軍とゲリラ軍の戦いが激化しているようである。この内乱から逃れた人々は隔離された難民キャンプで肩を寄せ合いながら貧しい暮らしを送っている。本作の主人公はそこに住む3人の子供たちである。彼らは夫々に深い悲しみを背負っている。
その悲しみとは、両親を殺された過去、兄をゲリラ少年兵に奪われ過去等、実に凄惨なものだ。彼らの胸の内を察すると実にやるせない思いにさせられる。今この国で何が起こっているのか。それをカメラは赤裸々に捉えている。
一方で、映画はそんな彼らの‟夢”についても描いている。ウガンダでは年に1回、全国の学校が集まって音楽大会が開催されるのだが、3人の子供たちはそれに参加することになる。難民キャンプに赴任してきた二人の音楽教師の指導の下、優勝を目指して猛特訓を始める姿が描かれていく。
それにしても、劇中に登場する音楽は実に情熱的なものが多い。以前見た
「アマンドラ!希望の歌」(2002南アフリカ米)でも感じたことだが、この独特のリズム、エネルギッシュな舞踏は実に活気にあふれている。貧困や内戦といった悲しい現実を吹き飛ばすようなパワーに溢れていて圧倒されてしまう。
本作はドキュメンタリー映画であるが、劇映画のようなドラマチックな構成になっていて、子供たちが夢を追い求めていく姿は実に感動的に綴られている。クライマックスあたりになると少し出来すぎな感じも受けたが、一生懸命頑張る姿を見ていると素直に拍手を送りたくなった。ドキュメンタリーでもそこには必ず人間ドラマがあるものだ。人間賛歌かくあるべし‥である。
尚、本作は映像・編集がかなり凝っている。M・ムーアの作品に代表されるように、昨今こうした映像・編集に凝ったドキュメンタリーは多くなっている。こうしたテクニカルな表現はドキュメンタリー映画として見た場合賛否あろうが、少なくとも本作はテーマを歪めるような狙いで使われているわけではない。あくまで映像のテリングという所に留められている。