金星ガニという呼称で有名なB級SFパニック作品。コーマン先生のユルユル演出がたまらない。
「金星人地球を征服」(1956米)
ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) 金星から謎の電波をキャッチしたアンダーソン博士は、金星人が地球を侵略することを察知する。しかし、周囲の人々は誰も彼の言うことを信用しなかった。落胆したアンダーソン博士は地球の重要な情報を金星人に提供する。そんな彼を親友のネルソン博士は批判するのだが‥。
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(レビュー) SF、モンスター映画を数多く作り出したAIP製作のB級SFパニック映画。製作・監督はR・コーマン。
いかにも低予算バレバレな金星人のロボット、通称“金星ガニ”の張りぼて感に始まり、どこからどう切ってもB級映画である。ドラマも地球侵略の危機というスケールの大きさの割に、小さな田舎町でしか繰り広げられない。また、展開も強引で行き当たりばったりである。何もかもが作品としての一定水準に達していない。
だが、これこそがB級映画としての醍醐味(?)なのだろう。皆さん大いに突っ込んでください‥という感じに作られている。
ただ、呑気な中にもシリアスな箇所はある。例えば、戦争の歴史を憂うセリフが度々登場しくてるが、当時の時代背景を考えると何気にこのメッセージは鋭い。冷戦真っただ中という時代性を考えると、金星人の侵略に共産主義の侵略をダブらせている節もありそうだ。
こうした真面目な作りは、こと本作のようなB級映画においては、背伸びしているようにしか映らないのだが、そこも含めてどうしても嫌いになれない作品である。ドヤ顔で語るラストのセリフは爆笑物だった。
尚、アンダーソン博士役は若きL・ヴァン・クリーフが演じている。彼はどちらかというと西部劇での印象が強いが、こうしたSF映画でもシャープな容姿がよくハマる。ファンならちょっとした拾い物という感じで見れるのではないだろうか。
ネルソン博士役は「スパイ大作戦」でもお馴染みP・グレイヴスが演じている。こちらもファンならちょっとしたお得感が味わえるだろう。