「新ゾンビ」でカルト視されているドイツの変態監督イッテンバッハのデビュー作。
「バーニング・ムーン」(1992独)
ジャンルホラー
(あらすじ) 喧嘩と薬物に溺れる青年が妹を寝かしつけるために怖い話を聞かせてやる。一つは精神病院を脱走した連続殺人鬼の話。もう一つは田舎町の神父の恐るべき話。ひとしきり話が終わると妹は眠りについた。兄が外に出て空を見上げると月が真っ赤に燃えていた‥。
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(レビュー) 残酷描写を売りとするドイツの鬼畜映画監督オラフ・イッテンバッハのデビュー作。
いかにもチープなビデオ撮影な上に、演出、特殊メイクが稚拙。編集もシナリオも甘い。正直、お粗末な作品と言わざるを得ない。ちなみに、車に引かれるシーンが見るからに人形で笑うしかないのだが‥。
もっとも、イッテンバッハの映画は一々突っ込んでいたら見てられない。どんなにちゃっちくても、どんなに間抜けでも、そこは笑って見てあげる‥というくらいの度量が必携である。
ドラマは至ってシンプルで、家族から爪はじきにされた不良青年がラリッた頭で妹に怖い話を聞かせる‥というものだ。彼の作り話は2本ある。1本目は精神異常者が家族を皆殺しにする話、2本目は田舎の神父が実は連続レイプ犯だったという話。どちらも後半に凄まじいゴア描写が用意されており、それ目当てで見る分には満足いくだろう。もっとも作りはチープなので余り期待しない方がいいと思うが‥。
個人的には1本目よりも2本目の方が少しだけ捻った展開になっていて面白く見れた。何か宗教的なメッセージを言いたげな感じもするが、余りにも見世物的な描写が強烈になってしまいそこまでの深遠さは感じられない。そこが良くも悪くもB級然としている。
二つの物語が終わると、再び現在に戻って青年の顛末が描かれる。ここはもう少し捻ったオチを望みたかった。比較的ストレートな終わり方になっていて食い足りなかった。
尚、ドイツと言えばこの手の過激なスプラッター映画の宝庫である。以前に紹介した
「ネクロマンティック(特別篇)」(1995独)同様、本作もドイツ当局の検閲で起訴処分を受けている。そして、今回も日本ではノーカット版がビデオのみでリリースされている。