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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

奇妙なタイトルだが、映画を見てその意味が理解できた。生きていくうちには決して目を背けてはいけない大切なことがあるのだ。3.11を連想してしまう‥。
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「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(2011米)star4.gif
ジャンル人間ドラマ
(あらすじ)
 9.11同時多発テロで父親を亡くした少年オスカーは、父のクローゼットから〝ブラック″と書かれた封筒に入った1本の鍵を見つける。宝石商をしていた父親とは、生前よく宝探しをして遊んだ。オスカーはそれが父が残した最後のメッセージだと思い込み、ニューヨークに住むブラックという人を次々と訪ねることにする。しかし、誰に見せてもその鍵を知らないと言われる。
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(レビュー)
 2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロをモチーフにした同名ベストセラー小説の映画化。父を亡くした少年の深い喪失と葛藤をシリアスに綴った人間ドラマである。

 原作者が「僕の大事なコレクション」(2005米)と同じ人だと言うことを知り、なるほどと思った。というのも両作品には共通点が幾つか見られる。

 まず、どちらの主人公も少し風変わりな人物達である。「僕の~」はコレクション癖がある几帳面な青年で、今作のオスカーは豊富な知識量を持ちながらそのせいで周囲に中々馴染めないちょっと棘のある孤独な少年である。本人が語っているとおりアスペルガー症候群的な所が無きにしもあらずで、それは母親との関係からも伺える。
 また、どちらも主人公が過去と対峙し辛い現状を克服していく‥という物語になっている。「僕の~」は祖父の故郷で様々なルーツを知りながら他者との関係を見出していく物語で、今作は父の死を乗り越えながら未来に向かって進んでいく物語だ。
 こう考えると、今回は9.11をモチーフにはしているが、ドラマのベースは「僕の~」とほぼ一緒であることが分かる。どちらも、孤独な主人公が過去を見つめ直し成長していく‥というドラマである。

 映画は、オスカーがブラックという人物を訪ね歩くことで展開されていく。その一方で、周囲との関係を綴る人間ドラマも展開されていく。
 中盤で、向かいの祖母の部屋に住む謎の老人が登場してくる。オスカーはこの老人と交流を育みながら少しずつ寂しさを紛らしていく。このやり取りにはしみじみとさせられた。
 また、父の死を遠ざけるようにして生きる母との関係。こちらも見応えが感じられた。9.11の被害者遺族の心の痛みに迫ったハードなドラマになっている。
 本作は鍵の秘密を探るサスペンス、オスカーと周囲の人々の関係を描いた人間ドラマ。この両輪で構成されている。

 監督はS・ダルドリー。「愛を読む人」(2008米独)「めぐりあう時間たち」(2002米)を見ればわかる通り、この監督は現在と過去を1本の川の流れのように見せるカットバック演出を得意としており、今回も前半のオスカーと父の関係を紹介するクダリ、後半の電話のやり取り等にその手法が用いられている。流麗に展開させる手腕はさすがで、またサスペンスと人間ドラマ、両方の歯車も上手くかみ合っている。全体的にドラマは手堅くさばけているように思った。

 最も感動的だったのは、やはり後半の鍵の秘密が解明されるシーンであった。ここでオスカーに知らされる「真実」は意外なものだった。確かに本人からすれば悔しくて残念な結果だったろう。しかし、ここに辿りついたことでようやく彼は過去と向き合う旅を終えることが出来た‥という風にも映った。オスカーの亡き父に対する愛と重なるようなこの「真実」のドラマには少しだけ涙腺が緩んでしまった。

 ただし、今作はここにボルテージの沸点が設けられていれば良かったのだが、その後がいただけない。母との関係を甘ったるい感傷で描いているが、ここは謎の老人の終幕同様、少し余白を残すような演出を望みたかった。少し美談を狙いすぎていてシラけてしまう。

 キャストは父親役を演じたT・ハンクスの大仰な演技を除けば、概ね皆、好演している。
 特に、オスカー役を演じた少年は、これが演技初経験とは思えないほどの堂々とした演技を見せている。今回は終始悲しみに伏せる表情を貫いていたが、今後演技の幅を拡げていけば将来が楽しみである。
 謎の老人を演じたマックス・V・シドーの好演も光っていた。声を失った孤独な老人という暗い役を、飄々とした味わいで演じた所に上手さを感じた。
 母親役のS・ブロックも中々の好演である。
 逆に。J・ライトはミスキャストという印象を持った。この役にはもう少し繊細な雰囲気を持った俳優の方が合っていたのではないだろうか。
[ 2012/03/01 02:00 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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