fc2ブログ










ビジターQ

三池版「家族ゲーム」?演者の怪演が凄い!
ビジターQ [DVD]ビジターQ [DVD]
(2002/03/20)
遠藤憲一、内田春菊 他

商品詳細を見る

「ビジターQ」(2000日)星3
ジャンルコメディ・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 テレビ局のキャスターをしている清は、援助交際の実態を撮ろうとして家出をした娘と偶然再会する。そのまま二人はホテルでセックスしてしまう。その頃、妻は息子の家庭内暴力を受けていた。痣だらけの体を引きずって自室に籠った妻はクスリでトリップした。そんなバラバラな家庭に一人の謎めいた青年がやって来る。
goo映画
映画生活

ランキング参加中です。よろしければポチッとお願いします!

FC2ブログランキング
にほんブログ村 映画ブログへ人気ブログランキングへ


(レビュー)
 鬼才・三池崇史が描く不条理でブラックなミステリアス・コメディ。

 崩壊寸前の家庭に潜り込んだ青年を中心に、バラバラだった家族が次第に絆を取り戻していく物語。これだけ聞くとさぞかし美しい家族愛の物語に思えるが、そこは三池崇史である。冒頭の父娘の近親相姦に始まり、息子の家庭内暴力、薬漬けになる母親、SM、レイプ、殺人、死姦。様々な下劣描写が画面を横行する。通俗的なホームドラマを激辛に味付した所がいかにも三池テイストだ。好き嫌いがはっきりと分かれる作品であろう。

 物語前半は家族の現状説明に終始するので少し退屈した。面白くなってくるのは中盤からである。清は息子の虐めをネタにドキュメンタリー番組を作ろうとするのだが、ここから彼は徐々に奇行に走っていくようになる。また、妻は謎の青年に誘惑されながら、母親としての自分、女としての自分、この二つにアイデンティティーが引き裂かれていくようになる。余りにも扇情的な姿は惨めであると同時に滑稽に写ったりもする。このように本作は後半に入ってくるとほとんど狂った映画になっていく。

 さて、ここで疑問に思えてくるのは、彼ら家族を狂わせてしまった謎の青年の正体である。彼は一体何者だったのだろうか?不穏な空気をまき散らしたかと思えば、妻にとっては安堵の対象となり、清にとっては友人となり、息子や娘にとっては親のような存在になっていく。この家族に様々な変化をもたらしたという意味では神的な存在だったのかもしれない。あるいは、ただの暇つぶしにフラリと立ち寄った旅人だったのかもしれない。色々と想像できて面白い。タイトルの「ビジターQ」の「Q」とは「QUESTION(質問)」の頭文字かもしれない。

 キャストの怪演も見応えがあった。特に、妻を演じた内田春菊の体当たりの演技は衝撃的であった。くたびれた裸体にあざを作って母乳や尿をほとばしらせる姿は正に狂気と言うほかない。
 また、清を演じた遠藤憲一のコメディ演技は破壊力が抜群である。特に、冒頭で描かれる娘とのベッドシーンは約10分に渡って情けないフルチン姿を延々と披露し笑いを誘う。いかにもホームビデオ風な映像は陳腐極まりない。しかし、見る者をその現場に引き込もうとする狙いからそうしているのだとしたら、これは実に計算された演出という気もする。また、若干間延びすることは確かだが、早漏呼ばわりされてブチキレるオチに繋がる〝タメ″と考えれば秀逸な演出かもしれない。
[ 2012/03/15 02:42 ] ジャンルコメディ | TB(0) | CM(0)

コメントの投稿













管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://arino2.blog31.fc2.com/tb.php/914-2bc37bd9