奇抜なキャラとアクションが笑える。何でもありな初期・三池テイストが全開!
「極道戦国志 不動」(1996日)
ジャンルアクション
(あらすじ) 九州の仁王会不動組は西日本最大のヤクザ組織夜叉組と抗争に突入した。しかし、仁王会四天王と呼ばれる重鎮達は事を丸く収めるよう、不動組・組長厳に落とし前を付けさせる。厳は長男の首を差し出して抗争に終止符を打った。次男・力は父が兄を殺す光景を見て憤りを感じる。それから10年後、高校生になった力は兄を殺した四天王と父に復讐を果たしていく。
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(レビュー) 兄を殺された少年とその仲間がヤクザに戦いを挑んでいく任侠映画。監督は鬼才・三池崇史監督。
主人公が高校生ということで、任侠物にいわゆる学園物のテイストが入ってくるところがユニークである。力の周囲には様々な殺し屋たちがいる。小学生のヒットマン、巨漢の怪力男、股間から毒矢を放つ女子高生等。必殺仕事人よろしく彼らは力の戦いに共闘していくのだが、その描写が余りにも荒唐無稽でマンガ的な表現で見ていて笑ってしまった。原作は谷村ひとしの同名コミックということである。未読であるが、このあたりの過剰なギミックは原作のテイストに合わせているのかもしれない。
ただ、こうした"過ぎる"演出は、三池崇史監督の資質という感じもする。毒殺される男の出血量がハンパなかったり、生首が瞬きをしたり、ハッキリ言って嘘臭いにも程がある演出が横溢する。また、小学生がボールの代わりに生首でサッカーをするような倫理的に問題アリなシーンも登場し、こうしたブラックさも三池崇史らしい。
物語は後半に入ってくると、力の前に宿敵が登場して俄然ヒートアップしていく。キムチ好きな元韓国軍兵士という、余りにも突飛すぎる設定に突っ込みを入れたくなったが、これがかなりの強敵でドラマの引き締め役として上手く機能していると思った。もっとも、見ようによっては、それまで無敵を誇っていた力の仲間が途端に間抜けになってしまった‥という感じも受けてしまうが‥。それに、肝心の力のキャラクターも頭脳派タイプなのが玉に瑕である。タイマンになると、どうしても体力の差が歴然で今一つ盛り上がり切れない。
何はともあれ、壮絶なバイレオンスの連続が続くので最後まで飽きなく見れる怪作だった。
問題はラストであろうか‥。物語が良い所で終わってしまうので残念だった。実は、本作の後にVシネで2本の続編が製作されている。力の覚醒(?)や残された仲間のその後の戦いなどは、そちらで展開されているものと思われる。尚、三池監督は続編の方にはタッチしていない。