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父と暮せば

しみじとくる父娘愛のドラマ。
父と暮せば 通常版 [DVD]父と暮せば 通常版 [DVD]
(2005/06/24)
宮沢りえ、原田芳雄 他

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「父と暮せば」(2004日)star4.gif
ジャンル人間ドラマ・ジャンルファンタジー・ジャンル戦争
(あらすじ)
 広島に原爆が投下されてから3年後。図書館に勤める美津江は、たった一人でひっそりと暮らしていた。ある日、図書館にやって来た青年・木下に原爆の資料を預かってもらえないかと相談される。二人は次第に惹かれあっていくのだが‥。
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(レビュー)
 原爆で被爆した娘と彼女の恋を応援する父の交流を描いた感動作。

 原作は井上ひさし。監督・脚本は黒木和雄。元々が舞台劇ということで本作も基本的には会話劇を中心とした作りになっている。黒木監督の端正なロングテイクと、美津江を演じた宮沢りえ、父を演じた原田芳雄の適確な演技がシンプルなストーリーを熱度の高いものにしている。やはりこういう会話劇は演者と演出がガッチリと噛み合うと見栄えがするものだ。

 全編に渡って広島弁による会話劇だが、主演二人はそこも上手く使いこなせている。宮沢の方はしおらしい物言いで魅力的であるし、原田の方はコミカルと豪気のメリハリをつけながら見事な妙演を披露している。特に、原田の創作話のシーン、後半の宮沢が〝幸せになってはいけん”理由を述べるシーン。この二つは見応えがあった。

 物語の方は父娘愛のドラマに反戦メッセージを組み込む体になっている。しかし、今回この組み合わせは少しちぐはぐな感じを受けた。というのも、このドラマは根本の部分でファンタジーの要素を持っているからである。そこでいくら原爆の悲惨さを訴えれても、やはり〝作られた物″感は拭えない。他の黒木作品と比べるとメロウすぎて今一つメッセージ性に説得力が欠けると思った。

 ただ、この反戦メッセージという題目を必要以上に意識しなければ、父娘愛のドラマにはしみじみと来るものがある。夫々の心情が丁寧にトレースされているので感情移入もしやすい。また、この手のファンタジーではよく用いられる二人の間に立ちはだかる絶対的な障害。これも上手く物語をドラマチックに盛り上げていると思った。
 たとえば、腕によりをかけた料理を食べてもらえない美津江の嘆き、原爆投下のエピソードを再現して見せるクライマックス。死生の狭間で交わされる二人の交流が、もう二度と会えないという残酷な現実をいやがうえにも意識させホロリとさせる。

 一方、若干浮ついてしまった反戦メッセージだが、原爆の恐ろしさを物語るリアルな小道具と幾つかのセリフ。これらについては真摯に受け止められた。原爆瓦は資料的価値の高い小道具で、他にも幾つかそういった物が登場してくる。父の「頭の上に太陽が二つ輝いた」というセリフも生々しく聞こえた。

 映画の世界観を支える美術、CGは今一つだった。木村威夫の美術はそれ単体で見れば魅力的かもしれないが、作品の向き不向きはある。先述の通り本作はファンタジーの要素を持っている。それを必要以上に意識したのか、戦後という暗い背景には今一つ不似合に思えた。

 尚、本作は黒木和雄監督の戦争レイクイエム三部作の完結編となる。「TOMORROW 明日」(1988日)は以前紹介したが、「美しい夏キリシマ」の方は未見なのでいずれ見てみたい。
[ 2012/03/27 01:24 ] ジャンル人間ドラマ | TB(0) | CM(0)

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