トリッキーなプロットは魅力的であるが‥。
「ラッキーナンバー7」(2006米)
ジャンルサスペンス・ジャンルアクション
(あらすじ) 仕事を首になり恋人にも逃げられて落ち込んでいた青年スレブンは、友人ニックの誘いでニューヨークを訪れる。途中で強盗にあい散々な思いで彼のアパートに辿りついたが、ニックの姿はどこにもなかった。その後、ひょんなことから隣人リンジーと知り合い仲良くなっていく。しかし、幸せも束の間。ギャングが現れてニックと間違われたスレブンは拉致される。彼は組織の抗争に巻き込まれていくのだった。
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(レビュー) 何をやってもついてない青年がギャングの抗争に巻き込まれながら、自らの過去と対峙していくサスペンス映画。
ギャング、黒幕、警察などが登場して話はスラップスティックに繰り広げられている。過去と現在を結びつけるプロットが巧みで中々良い。最後のどんでん返しも冴えているし、冒頭の小話等の伏線もきちんと回収しているあたりは好感が持てた。また、やや強引ではあるがロマンス物としてのカタルシスもそこそこ感じられた。
ただ、プロット自体は良くできているのだが、いかんせんそれを面白く見せる演出は今一つ精彩に欠く気がした。
例えば、クライマックスはかなりハードな場面であるが、登場人物たちの言動、特に主人公スレブンの言動がそのシリアスさを完全に壊してしまっている。
そもそも本作の登場人物たちは皆コメディ寄りに造形されている。バスタオル姿で右往左往するスレブンの姿がいい例だ。彼はのっきぴならない事態に追い込まれても割と楽観的に物事を捉えるクセがある。こうしたコメディ寄りな造形、そしてそれに沿った演出の数々は、本来の物語のシリアスさを弱めてしまっている。
また、CGの使い方もわざとチープにしているような節があるし、音楽もとぼけたテイストのものが多い。全体的にプロットとテリングが噛み合わないため、コメディとサスペンスのどちらを向いて作られているのかよく分からない状態になってしまっている。
セリフで何でもかんでも語ってしまうところも賛否あろう。クライマックスにおける謎解きは少しくどい感じがした。これだけ説明セリフが続くと淡々と聞けてしまい、どうしたって盛り上がらなくなってしまう。もう少しスマートなやり方があったのではないだろうか。
ちなみに、この種明かしを聞いて「ユージュアル・サスペクツ」(1995米)を思い出した。鑑賞順の関係もあるが、衝撃度という点で言えば「ユージュアル・サスペクツ」には今一歩及ばなかった。