国内未DVD化作品。中途半端な作りで味の分からない作品になってしまった。
「40オトコの恋愛事情」(2007米)
ジャンルロマンス・ジャンルコメディ
(あらすじ) コラムニストのダンは妻に先立たれて3人の娘たちと暮らしている。休暇を親戚一同が集う別荘で過ごすことになった。ある日、近所の本屋でマリーという女性に出会い意気投合し一緒に食事をする。楽しい時間を過ごすが、なんと彼女は弟ミッチの恋人だった。秘めた思いを胸に平静を装う二人だったが、その夜のディナーでダンは感情を爆発させてしまう。
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(レビュー) シングルファーザーの恋をユーモラスに綴った作品。
主演が
「40歳の童貞男」(2005米)のS・カレルと言うことで見たのだが、意外に笑いは少ない。映画を見終わってみると結構シリアスなドラマだったんだ‥という印象である。「40歳の童貞男」にあやかってつけられた邦題に騙された‥という感じがした。
また、基本的にシリアスではあるが、そこを責めきれてないという感想も持った。そもそも、キャラクターへの踏み込み不足と葛藤の弱さを感じる。
例えば、ダンは何故あそこまで弟の恋人であるマリーにのめり込んでしまったのだろうか?まず一歩引いて冷静に考えるという葛藤があって然るべきだと思う。
あるいは、恋は盲目ということであれば、ダンが何もかも捨てて夢中になるくらいの魅力がマリーになくてはならない。ところが、マリーを演じたJ・ピノシュは決してそこまでの女性とは言い難い。これは個人的な好みで言っているではなく、シナリオ上少なくともそういう風に造形されていなければならない‥ということを言っているのである。
無論、若い頃の彼女であれば、そこに存在するだけで魅力的な女性に見せることは可能だったろう。しかし、40も半ばに入ればそれ相応の大人の"色香″というものを出していかないと男を虜にすることは出来まい。
料理上手、豊富な海外渡航経験、知識欲旺盛で博識、エクササイズなどをこなす健康的な女性etc.なるほど、大変魅力的な女性である。しかし、肝心のセックスアピールは全く感じられない。ダンは彼女のどこに惚れ込んでしまったのだろうか?
同様にダンにもセックス・アピールの不足は感じてしまう。彼は売れないコラムニストをしながら年頃の娘たちの面倒を見ている良き父親である。序盤の海辺のシーンで彼のユーモアと包容力は明確に打ち出されている。確かに善人である。しかし、善人だけではマリーが惚れる理由としてはまだ足りない。恋人を裏切り情事に落ちるという所までいくには、やはり男性的な特別な魅力がないとダメだと思う。
今作はディズニー傘下のタッチストーンの製作である。だから性表現に限界があるのではないか‥と穿った見方をしてしまった。しかし、それではダンとマリーの恋愛に説得力を持たすことは出来ないと思う。
また、ラストの強引なハッピーエンドにも閉口してしまった。この時のミッチの選択は余りにも唐突過ぎる。
おそらく、こうした留意点は最初からコメディとして作られていたなら、ある程度目を瞑ることが出来たのかもしれない。しかし、コメディとシリアスの中間を行くような作りになってしまったため、釈然としない作品になってしまった。
尚、ロケーションの美しさ、ダンの3人の娘たちのキャラクターはそれぞれに良かったと思う。リリーのプレゼントが実に微笑ましかった。