正にエンタテインメントの幕の内弁当!
「ロボット<完全版>」(2010インド)
ジャンルSF・ジャンルアクション・ジャンルロマンス・ジャンル音楽
(あらすじ) 天才科学者バシーは10年の研究の末、ついに人工知能を持った万能ロボットを完成させる。長年疎遠で心が離れかけていた恋人サナとの間も、そのロボットのおかげでどうにか修復された。バシーの未来は順風満帆だった。ところが、実用試験の段階で障害が発生する。かつての恩師である悪徳工学博士がバシーに嫉妬して特許申請の妨害をしてきたのだ。バシーはロボットに更なる改良を施していくのだが‥。
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(レビュー) 映画大国インドからやって来たSFアクション作品、
元々インドでは、歌やダンス、アクションやロマンスといった何でもありなごった煮映画は盛んに作られているが、それをSFエンタテインメントとして昇華した所に新味を感じる。製作費はインド映画史上最高。アジア各地で興収100億円突破。様々な触れ込みで公開となったが、なるほど‥確かに今までのインド映画と比べるとスケールが違う。ちなみに、今回は日本上映版よりも約40分ほど長い3時間の完全版で鑑賞した。主に歌とダンスシーンが追加されている、
主演のラジニカーントは、今から15年ほど前に日本でヒットした「ムトゥ踊るマハラジャ」(1995インド)と同じ主演俳優である。見た人なら「あぁ‥あの人」と誰もが思い出す濃い味系のヒゲ面おじさんである。決して若くもないしイケメンでもないのだが、彼は未だにインドではスーパースターである。現に、今作のOPでは"スパースター″ラジニカーントというクレジットで紹介されている。まずここから「自分で言うなよ!」と誰もが突っ込みを入れなくなるのだが、この調子でこの映画は全編突っ込み所満載なバカ映画になっている。大体によって彼が演じるバシーは途中からロボットを軍事目的で開発しようとするわけであるから、決してヒーローでもなんでもない。したがって「アンタも悪徳工学博士のこと言えんだろ!」という突っ込みは当たり前のように出てくる。
正直、ドラマ自体は日和見で冗漫な感じを受けた。ロボットがサナに惹かれていく過程はもっとスムースに描いて欲しいし、テロリストの絡め方も上手く機能しているとは言い難い。どうせバカ映画に徹するのであれば、このあたりは「突っ込み上等!」なくらいな簡潔さがあっても良かったような気がする。こうした水っぽさが、後半のボルテージの上げ方を窮屈にしてしまっている。後半のサナを巡るバシー対ロボットの対立を軸に描いた方がドラマの方向性は明確に出たような気がする。
ただ、こうしたストーリー下手を補って余りあるスピーディーで破天荒なアクションの数々、軽快な歌とダンスには興奮させられた。正にエンタテインメントの幕の内弁当といった感じで、お腹一杯になること請け合いだ。特に、序盤のバシーとサナのロマンチックな砂漠のダンス、世界遺産マチュピチュでのダンスは、ダイナミックな映像で見応えがあった。