ドラマは食い足りないがハイテンションな映像は必見!
「REDLINE」(2010日)
ジャンルアニメ・ジャンルSF・ジャンルアクション
(あらすじ) 遥か未来。全宇宙が熱狂する何でもありなカーレースREDLINEが5年ぶりに開催されることになった。速さにこだわり続ける"優し過ぎる″JPはその予選に出場するが、あと一歩という所で敗退する。実はすべて彼の相棒でメカニック担当・フリスビーが仕組んだ八百長だった。JPは八百長専門のレーサーだったのである。仮出所中だったJPはこれによって保釈金を手にしレースとおさらばしようとした。ところが、REDLINEへの出場辞退者が出たために彼が選抜されてしまう。今度のレース開催地は悪名高きロボワールドが統括する惑星だった。そのために棄権者が出たのだ。JPは今度こそ優勝を捕りに行こうとするのだが‥。
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(レビュー) 石井克人監督の「PARTY7」(2000日)や「茶の味」(2003日)でアニメパートを手掛けた小池健監督によるハイテンションSFアニメ。
正直ドラマは薄っぺらいが、個性溢れるビジュアルにグイグイと引き込まれた。これぞアニメーションという感じがする。
全体的なデザインはアメコミ風なタッチで、どことなく今石洋之監督のテイストに近い感じもしたが、こちらの方がより先鋭化されており、それが良い意味でバタ臭さく"全編これコメディ″な作品の趣旨に上手くマッチしている。
ただ、余りにもコメディ色が先行するため、中盤あたりから少し辟易してしまう場面もあった。それによって、生死をかけた危険なレースも本来の緊張感が失われてしまい、何だかダラダラとやっているように映ってしまう。特に、ロボワールドの秘密兵器については一体何のために出てきたのかよく分からない扱いで、もう少し使いようを考えて欲しかった。これでは只のお祭り騒ぎの神輿として担ぎ上げられただけである。
レースの裏側で展開されるJPとソノシーの恋愛ドラマ、JPとフリスビーの友情ドラマも表層的にしかなぞられていない。ドラマチックに盛り上げようとするなら、このあたりはもう少し濃密に描いて欲しい。
ただ、こうしたストーリーテリングの形骸化は当然作り手側も分かった上でやっているのだろう。まずは勢いのあるハイテンションな映像の数々。そこを"売り"にしていることは、作品を見れば十分わかる。実際、ドラマを度外視にしても、これには純粋に興奮させられた。
尚、監督の弁によると、今作はCGをほとんど使わず手描きにこだわって作ったそうである。正に驚異の一言である。出来れば迫力が味わえるスクリーンで見ておきたかった。