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コララインとボタンの魔女

独特の世界観に引き込まれる。
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(2010/08/06)
ダコタ・ファニング、キース・デヴィッド 他

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「コララインとボタンの魔女」(2009米)star4.gif
ジャンルアニメ・ジャンルファンタジー
(あらすじ)
 少女コララインは古びたアパートに両親と引っ越してきた。父も母も仕事ばかりで全然かまってくれず、暇を持てました彼女は一人で遊びに出かけた。そこで近所に住む少年ワイビーと出会う。彼から祖母から預かったというコララインにそっくりな人形を貰う。その後、彼女は自分の部屋の中に不思議なドアを見つけた。開けてみるとそこには不思議な世界が広がっていた。
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(レビュー)
 もはやクリスマスの定番とも言える映画「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(1993米)で監督デビューを果たしたヘンリー・セリックが同名児童文学をストップ・モーション・アニメで映像化した作品。孤独な少女の冒険をブラック&シュールに綴ったファンタジックな1編である。
 「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」は製作・原案・キャラクター設定を担当したT・バートンのテイストが色濃く反映された作品だったが、セリックが考えた世界観もかなり出ている。彼の特徴はバートンがタッチしていない今作を見るよく分かる。

 例えば、彼がこれまで作ってきた作品「ジャイアント・ピーチ」(1996米)、「モンキーボーン」(2001米)を見ると、セリックにはセリックにしか出せない独特の感性がはっきりと見て取れる。「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のようなダークな色調はもちろんのこと、パステルカラーな色調も見られ、まったく相反する二つのカラーリングを違和感なく画面に溶け込ませる術に長けている。むろんこの感性はT・バートンも得意とするところだが、セリックがやるとそのあたりのバランス感覚が絶妙である。今作もどちらに偏ることがなく均等に配分されている。

 今作はコララインにとっての現実の世界=ダーク、ドアの向こうのもう一つの世界=パステルに色づけされている。かっちりとしたトーンの切り替えが図られ、それがコララインにとっての地獄と天国、現実と幻想を意味していることがよく分かる。この映像的なメリハリのつけ方は実に刺激的で面白かった。

 そして、終盤に入ってくると一見すると華やかで温かみに満ちた幻想の世界が実は恐ろしいものだった‥ということが分かり、ダークとパステルのトーンが突如反転する。このドラマチックな逆転現象も見事に物語を盛り上げていると思った。

 キャラクターを生き生きと表現したストップ・モーション・アニメの技術も素晴らしい。このあたりは過去作に引けを取らない出来栄えである。

 そして、奇抜なビジュアルをしたキャラクター造形。これも今作の大きな魅力だろう。コララインが住むアパートの2階に住むサーカス男、地下に住む老姉妹、ボタンの目をしたもう一つの世界の住人達。かなりグロテスクでパラノイチックだが、どこか愛嬌も感じさせる面白い造形をしている。特に、地下劇場のステージ・シーンで発奮する姉妹には声を出して笑ってしまった。

 一方、物語はというと、こちらは至極シンプルに構成されている。コララインが現実の世界とドアの向こうの世界を行き来する、いわゆる"行って帰ってくる″イニシエーション・ドラマとなっている。安心して見ることが出来た。
 ただし、極めて理不尽な展開が度々登場する上に、コララインにそっくりな人形や彼女の冒険を手助けしてくれる黒猫等、何を意味しているのか分かりづらい物が登場してくるので、解釈に迷うような所もある。童心に戻って何も考えずに楽しんでもいいのだが、様々に探究することも可能な一定の深みを持った作品になっており、ある意味で大人のための童話といった印象の作品である。
[ 2012/07/15 00:54 ] ジャンルアニメ | TB(0) | CM(0)

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