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ベルフラワー

「マッドマックス2」が好きすぎた男のイタタ‥な傷心ドラマ。
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「ベルフラワー」(2011米)星3
ジャンルロマンス・ジャンル青春ドラマ
(あらすじ)
 「マッドマックス2」に登場する悪役ヒューマンガスに憧れる青年ウッドローとエイデンは、世界の終末を望みながら愛車を改造していた。ある日、ウッドローはバーでミリーという女性と出会い恋に落ちる。しかし、彼女の浮気現場を目撃したことから二人の愛は破滅へと向かっていく。
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(レビュー)
 妄想に取りつかれた青年が破滅的な愛にのめり込んでいくビターな青春ロマンス作品。

 ウッドローとエイデンは「マッドマックス2」のヒューマンガスの信奉者で、映画に登場する車メデューサ号を自分たちで作ろうとしている。映画はその製作過程を描きながら、一方で苦い結末を迎えるウッドローとミリーのロマンスを描いている。

 結論から言うと、私的映画の典型のような作品だと思った。今作を見て感銘を受けるかどうかは、その人が辿ってきた人生に大きく関わっているような気がする。傷心男のいじけた姿に分かる分かる‥と頷く人もいれば、そんなもの白けるだけだという人もいるだろう。それくらい好き嫌いが分かれる作品だと思う。

 製作・監督・脚本・主演を務めたのは今作がデビューとなるエヴァン・グローデル。作りの拙さが各所で目立つが、今作にはそうした技術的な粗を吹き飛ばす異様なエネルギーが満ちている。こうした猪突猛進的なドラマが作れる所はワンマン映画の良い所だろう。メッセージがストレートに画面に叩きつけられているので力のこもった作品となっている。

 ただし、シビアさという点では足りない。第一、ウッドローはミリーと別れた後に、彼女の親友とくっついている。決して失恋→自暴自棄という風に破滅の道を辿っているわけではないのだ。そもそも仕事もないこのボンクラになぜ彼女の親友が惹かれるのかが理解できない。これによって本来あるべきウッドローの失恋の痛みは弱くなってしまっている。監督は自分の傷心体験を映画にしたと語っているが、果たしてどこまでそれが突き詰められているのだろうか?そこに詰めの甘さが感じられた。

 むしろ、ダメっぷり加減だけで言えば、ウッドローよりも彼の相棒であるエイデンの方がよりシビアと言えよう。彼も失恋の辛酸を舐めるが、ウッドローと違ってひたすらメデューサ号の改造にのめり込んでいく。その姿には一切の邪心が見られず「マッドマックス2」オタクとしての潔さも感じられた。真にダメ男というのは彼のようなことを言うのではないだろうか。正に彼の選択こそ修羅の道である。

 映像は所々に斬新な物が見られて面白かった。どうやら監督自らがカメラを改造して撮影にのぞんだらしいが、画面の一部がぼやけていたり、ざらついた埃っぽい映像になっている。ウッドローから見た倒錯した世界観を再現しているのだろう。フィルターを駆使しながら不思議な画作りが行われている。

 ところで、今作はクライマックスからラストにかけて幻想的になり少し分かりづらくなっていく。自分はラストのアレだけはウッドローの幻想だと思うのだが、どうだろうか?ドラマのキーアイテム・メデューサ号とエンドクレジットの意味についてこんな風に考えてみた。

 ミリーに裏切られたウッドローは、エイデンに完成したばかりのメデューサ号をプレゼントされる。これはつまりミリーに変わる新しい恋人のようなものと解釈できる。「アメリカン・グラフィティ」(1973米)や、RCサクセションの「雨上がりの夜に」の歌詞に出てくるように、女と車はある意味では同義な意味を持っている。一人前の男であることを証明する一つのステータスのようなものである。
 こう考えると、エンドクレジットのウッドローとメデューサー号のツーショットは、完全に妄想世界への埋没を意味するものなのではないだろうか。果てしなく続く荒野は彼が夢想する「マッドマックス2」の世界観そのものとも言える。そして、そこに佇む二人は世紀末を生きるアダムとイブのようにも見える。

 同じ男としては何ともイタタ‥な結末であるが、同時にこれは男の"永遠の少年性"をロマンチックに言い当てているような気もした。果たして監督の真意がどこにあるのかは分からないが、少なくともこの心情は女よりも男の方が理解しやすいのではないかと思う。
[ 2012/08/05 03:02 ] ジャンルロマンス | TB(0) | CM(0)

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