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ミスト

ダラボン&キングの快作!
ミスト [DVD]ミスト [DVD]
(2008/09/17)
トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン 他

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「ミスト」(2007米)star4.gif
ジャンルホラー・ジャンルサスペンス
(あらすじ)
 小さな田舎町を嵐が襲った。翌朝、イラストレーターをしているデヴィッドは幼い息子と一緒にスーパーマーケットに買い出しに出かけた。彼らはそこで謎の霧に襲われる。霧の中には何かがいた。町の人々はスーパーマーケットに籠城しその"何か"と対決していくようになる。
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(レビュー)
 S・キングの原作をF・ダラボンが監督・脚色したホラー映画。

 映画が始まってから30分。ジワリジワリと不穏な空気に包まれていくシークエンスが素晴らしい。嵐が襲った翌朝、デヴィッドは息子と一緒に町の中心地に出かけるのだが、そこで目にする風景が徐々に異様な光景に変化していく。町中が霧で覆われ通りには軍の車両が往来し、一体何が起こっているのか?という不安が不気味に盛り上げられている。見ている自分も画面にグイグイと引き込まれてしまった。

 もっとも、本作は肝心の霧の正体の種明かしの仕方が少々まずい。もう少し引っ張っても良かったように思うが、案外アッサリと判明し、それ以降途端によくあるモンスター・パニック映画になってしまった。序盤のミステリアスな展開に期待を膨らませていた自分は何だか肩透かしを食らってしまった気分である。

 また、SF的なネタを持ってきた所も賛否あるかもしれない。限定空間、短時間というミニマムなドラマだけに、この荒唐無稽さは唐突過ぎる感じも受けた。

 一方、モンスターの造形は中々良かったと思う。生理的に苦手な物もあったが、そこはそれ。だからこそのホラー映画である。後半に行くにつれて様々なデザインが見られ、造形に関しては申し分ない。

 ドラマの方は先述したとおり、序盤から前半にかけて牽引していた謎解きの魅力が無くなってしまったのは残念だった。ただし、中盤からスーパーマーケットに閉じ込められた人々の衝突、駆け引き、友情の人間ドラマがハイテンションに活写されており楽しめた。絶望的な選択の数々、醜悪な争い、疑心に駆られた狂気的行動。そこから浮かび上がってくるテーマは、ホラー映画としては定番なものであるが実にストレートに発せられている。

 例えば、集団パニックを先導する狂信的なキリスト教信者カーモディの存在は面白い。彼女はこの状況を神示と捉え不安に駆られる人々に祈ることを強要する。演じるM・ゲイ・ハーデンの扇情的な怪演が、このキャラクターをことさらおぞましいものに見せ、ある意味では霧の中に生息するモンスター以上にモンスターのように見えてくる。彼女の存在は集団心理の異常性を見事に物語っていると思う。主人公デヴィッドは彼女と対立していくようになるのだが、彼女が〝敵役″として徐々に人々の心を掌握していくことで彼の戦いもヒートアップしていく。このあたりの作りが中々堂に入っている。

 また、衝撃的なラストにも見応えが感じられた。ネタバレを避けるためにここでは書かないが、これは原作とは異なっており、監督・脚色のF・ダラボンのオリジナルのアイディアだそうである。

 S・キングとF・ダラボンのコンビと言えば「ショーシャンクの空に」(1994米)、「グリーンマイル」(1999米)に続いて今回で3作目になる。このコンビで作られた作品は、人間のダークな心理を上手く映像的なカタルシスに落とし込むことに成功しており傑作と評する人も多い。そして、今作のラストも正に人間のダークな心理が妥協なく突き詰められていて圧巻だった。人間の業を皮肉った残酷な〝顛末″は、見る人が見ればトラウマ級のヘビーさと言えよう。
[ 2012/08/19 01:30 ] ジャンルホラー | TB(0) | CM(0)

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